Nikon Imaging
Japan

2018年11月の星空

天頂付近に見える「アンドロメダ座」には見事な渦巻銀河があります。写真を鑑賞したり双眼鏡で探したりしてみましょう。宵空ではまだ火星が明るく見えています。明けの明星の輝きにも注目です。

星空写真

北軽井沢にて
D850は裏面照射型CMOSセンサー採用で色ムラが大きく改善し、銀河の色に濁りがなくピュアに表現できています。

2017年9月29日 2時51分
ニコン D850+AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VR(ISO 3200、露出120秒を16枚合成、f/4.5)
撮影者:高岡 誠一

11月の星空

南の空

南の空

2018年11月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(23日)、上弦(15日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2018年11月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(木) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
2日(金) 未明~明け方、月とレグルスが並ぶ
7日(水) 立冬(こよみの上で冬の始まり)
8日(木) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
9日(金) 夕方、細い月と水星が並ぶ
11日(日) 夕方~宵、細い月と土星が接近
15日(木) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
このころ、未明~明け方に金星とスピカが大接近(「今月の星さがし」で解説)
16日(金) 夕方~深夜、月と火星が接近
23日(金) 満月。次の満月は12月23日です
宵~翌24日明け方、月とアルデバランが大接近(「今月の星さがし」で解説)
30日(金) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
未明~明け方、月とレグルスが接近

11月の惑星

水星

中旬ごろまで、夕方の南西の低空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方17時15分ごろ)の高度は約5度とかなり低いため、見つけるのは難しいでしょう。5日ごろまでは水星の右に木星が、9日には水星の右上に細い月が並ぶので、これらの天体が見つかれば水星も見えるかもしれません。星図アプリなどで位置をよく確かめて、見晴らしの良い場所で双眼鏡を使って探してみましょう。

金星

明けの明星として、明け方の東南東の低空に見えます。

日の出30分前の高度は、上旬の(東京で朝5時35分ごろ)は約5度とかなり低いですが、中旬(5時45分ごろ)には約18度、下旬(5時55分ごろ)には25度と、どんどん高くなります。下旬になればもっと早い時間から(低いところに)見つけることもできるでしょう。

15日ごろに「おとめ座」の1等星スピカと大接近します。「今月の星さがし」を参考に、早起きして明けの明星の輝きを確かめてみましょう。

火星

「やぎ座」から「みずがめ座」を動いています。夜18時ごろに南の空に見え、夜21時ごろに南西の空に移り、日付が変わるころに沈みます。明るさは約マイナス0.3等級です。

明るい星が少ない宵空で、マイナス等級の輝きと特徴的な赤~オレンジ色はよく目立ちます。天体望遠鏡を使って模様を見ることは難しくなってきましたが、肉眼ではまだまだよく見えるので、今月も眺めてみてください。

16日の夕方から深夜にかけて、上弦過ぎの半月と接近します。共演の様子を双眼鏡で観察したり写真に撮ったりしてみましょう。

木星

5日ごろまで、日の入り直後の西南西の低空に見えます。とはいえ、日の入り30分後(東京で夕方17時15分ごろ)の高度は5度未満しかないので、見つけるのは非常に困難です。観察に挑戦する場合には双眼鏡で探してみましょう。

その後の木星は太陽と同じ方向になるため、しばらく見えなくなります。次は12月下旬ごろから、明け方の南東の低空に見えるようになります。

土星

「いて座」にあります。日の入り1時間後(東京で夕方17時ごろ)に南西の低空に見え、夜19時半ごろに沈みます。明るさは約0.5等級です。

低くなってきたため、天体望遠鏡での観察にはあまり向いていません。夕空で控えめに光る土星の輝きを、肉眼や双眼鏡で眺めてみましょう。とくにおすすめは11日、細い月と接近するタイミングです。

今月の星さがし

しばらく見えなくなっていた金星が「明けの明星」として見え始めます。早起きして眺めてみましょう。23日深夜から24日にかけては、丸い月が「おうし座」の顔の辺りを通り過ぎていきます。

明けの明星、金星

9月ごろまで「宵の明星」として夕方の西の空に見えていた金星は、10月下旬に地球と太陽の間に位置する「内合(ないごう)」という状態になり、その前後しばらくの期間は見えなくなっていました。そして今月からは「明けの明星」として、夜明け前の東の空に活躍の舞台を移しています。

11月ともなると夜明けもすっかり遅くなり、東日本では5時から5時半ごろ、西日本では5時半から6時ごろになっても、まだ空が暗いままです。その暗い空の中で、マイナス4.5等級(1.0等級の160倍)もの明るさで輝く金星の姿には、美しさだけでなく畏敬の念さえ感じてしまうかもしれません。寒くなり早起きが辛い季節になってきますが、それでも早起きして眺める価値がある光景です。

11月12日から30日まで3日おきの、東南東を中心とした空の様子(5時、場所は東京)。囲み内は金星とスピカのズームアップ(直径7度、双眼鏡で見たイメージ)

明けの明星が見える東の空には、早くも春の星座たちが昇ってきています。11月の間は金星のすぐそばに、「おとめ座」の1等星スピカが並んで見えます。美しいペアを眺めて楽しみましょう。間隔が最も小さくなるのは15日ごろです。

さて、明け方の時間帯のことを「あかつき(暁)」と呼びますが、この「あかつき」という名前は、日本が運用中の金星探査機の名称でもあります。暁の空に金星を見つけたら、そこにある探査機「あかつき」のことも、ぜひ思い出してみてください。

23日深夜~24日明け方、月がヒヤデス星団を通過

11月の下旬になると、夜21時ごろには東の空に「オリオン座」や「おうし座」など冬を代表する星座たちが昇ってきます。このうち「おうし座」の顔に当たる部分にはV字形に星が並んでいて、眼の位置には赤っぽく輝く1等星アルデバランがあります。V字形の部分は「ヒヤデス星団」という星の集まりで、双眼鏡で見るとたくさんの星が集まっているのがわかります。

23日の深夜から24日の明け方にかけて、このヒヤデス星団のすぐ近くを明るい月が通り過ぎていく現象が起こります。一部の星は月に隠されてしまいますが、このような現象のことを「星食、恒星食」と呼びます。

11月23日の深夜から24日の明け方にかけて、月がヒヤデス星団の星々やアルデバランの近くを動いていく様子(場所の設定は東京)。円の大きさは直径10度。北の方向を上にした図なので、実際の空で見たときと角度が異なる可能性がある

ヒヤデス星団がどこにあるかわからなくても、この夜は「月を見れば、そこに星団がある」ので、月を見るのと一緒に星団も眺めてみてください。ただし、月がとても明るいため、肉眼ではアルデバランもヒヤデス星団も見えにくくなります。できれば双眼鏡を使って観察してみましょう。星が月に隠されたり月から現れたりする瞬間の観察には天体望遠鏡が必要です。

また、23日の宵のころから観察していれば、時間が経つにつれて月とアルデバランの距離がじわじわと小さくなっていく様子がわかります。これは肉眼でも見ることができるので、たとえば1時間おきに眺めてみると面白いでしょう。

今月の星座

アンドロメダ座

11月中旬の夜21時ごろに頭の真上あたりを眺めると、先月ご紹介した「ペガスス座」の大きな四角形「秋の四辺形」が目につきます。その一角から北東方向に伸びている星の連なりが「アンドロメダ座」の星々です。

「アンドロメダ座」「さんかく座」
(銀河の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

アルフェラッツ、ミラク、アルマクと、2等星が似たような間隔で並んでいて意外と見つけやすい星座です。四辺形からどの方向を見ればいいかわからないときには、北の空に見えているW字形の「カシオペヤ座」を見つけて、「秋の四辺形からカシオペヤ座のほうに伸びる星の並び」を探してみてください。

ギリシャ神話では、国王ケフェウスと王妃カシオペヤの娘の王女とされており、化けくじらに襲われそうになったときに天馬ペガススに乗った勇者ペルセウスによって助けられました。「アンドロメダ座」の北に「カシオペヤ座」「ケフェウス座」、東に「ペルセウス座」で西に「ペガスス座」と、神話に登場する星座はこの季節の夜空に勢ぞろいしています。ページ上部の「11月の星空」の星図などを頼りに見つけてみましょう(南に少し離れて「くじら座」もあります)。

二重星アルマク

アンドロメダ姫の足先に光るアルマクを天体望遠鏡で観察すると、黄色っぽい2等星と青っぽい5等星が並ぶ二重星であることがわかります。王女のアンクレットのような美しいペアを、ぜひ観察してみましょう。

アンドロメダ座大銀河M31、さんかく座銀河M33

アンドロメダ座大銀河(M31は「メシエカタログの31番目の天体」の意味)は、私たちのいる天の川銀河から230万光年離れたところにある巨大な渦巻銀河です。光の速さでも200万年以上かかるというと、途方もなく遠くにあるように思えますが(実際に遠いのですが)、形が整った銀河としては、天の川銀河から一番近い天体です。宇宙の広さを感じさせられますね。数十億年後には天の川銀河と衝突すると考えられています。

空が暗いところなら肉眼でもボンヤリと見え、郊外でも双眼鏡があれば見つけられます。ミラクを目印にして探してみましょう。ページ上部の「星空写真」でご紹介している画像はカメラで淡い光をとらえ画像処理で細部まで浮かび上がらせたものであり、眼視ではここまで立派な姿は見えません。しかし、230万年かけて宇宙を旅してきた光を直接自分の目にするのは、写真とは異なる感動があります。ぜひ探し出してみてください。

また、アンドロメダ座大銀河よりは暗いものの比較的見つけやすい銀河が「アンドロメダ座」の隣にあります。「さんかく座」にあるM33という銀河です。距離は約300万光年で、これも宇宙全体のスケールで考えれば私たちのすぐそばと言える近さです。M33は、その渦を正面から見る位置関係にあるので、天体写真では「これぞ渦巻銀河」という形が楽しめます。

ミラクを中心としてM31の正反対の位置、と見当をつけて双眼鏡を向ければ、渦の様子までは見えないまでもうっすらと光の広がりをとらえられるでしょう。ただしM31よりはずっと淡いので、空の条件の良いところで探してみてください。

さらに、アルマクの近くには、渦巻構造を真横から見る位置関係にあるNGC 891という番号(NGCは別のカタログの名前)の付いた銀河もあります。こちらはもっと暗いので、写真向きの天体です。

秋の夜長に、銀河までの距離に思いを巡らせたり、見る角度によって姿を変える渦巻き模様を楽しんだりしてみてはいかがでしょうか。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は11月中旬の深夜1時ごろの星空です。12月中旬の深夜23時ごろ、来年1月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります)。

2018年11月中旬 深夜1時ごろの星空

「秋の四辺形」が西の空に低くなりました。アンドロメダ姫は足を上に向け、西の地平線に頭から沈んでいくので苦しそうです。

秋の四辺形から明るい星が少ない南西の空を通り過ぎて南の空を見渡すと、色とりどりの星たちが踊っています。星の明るさや色の違いも楽しんでみましょう。10分、15分と眺めていると目が暗いところに慣れ、さらに暗い星々も見えてきます。

東の空には「しし座」が昇り始めています。また、北東の空には「北斗七星」も見え始めました。どちらも地平線からまっすぐ立ち上がって、立派に見えますね。さらに夜が更けると、「今月の星さがし」でご案内した金星が東の空から昇ってきます。

深夜から明け方にはかなり冷えます。防寒をしっかりとして星空散歩をお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

星空観察のワンポイントアドバイス