Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

2018年6月の星空

夕方の西の空で、宵の明星の金星がキラキラ輝いています。その金星が沈み、空がすっかり暗くなったころ、南の空で木星の圧倒的な輝きが目立ちます。木星は今が見ごろ。観察会などに出かけて、天体望遠鏡で縞模様やガリレオ衛星を観察してみましょう。天頂に見えるオレンジ色のアルクトゥールスは、初夏の訪れを感じさせてくれる星です。

星空写真

房総にて
千葉房総の大波月に春の星座たちを撮りに行った。うしかい座とかんむり座が並んで昇ってきた。かんむり座は半円状で、まさしく冠に見える。好きな星座のひとつだ。オレンジ色のうしかい座の1等星アルクトゥールスとともにおとめ座の1等星スピカが青白く輝いている。木星も昇ってきた。

2018年3月17日 22時28分
ニコン D800E+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(20mm、ISO 6400、露出30秒、f/2.8)
撮影者:鈴木 祐二郎

6月の星空

南の空

南の空

2018年6月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(28日)、上弦(20日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2018年6月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

3日(日) 深夜~翌4日明け方、月と火星が接近
7日(木) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
8日(金) このころ、夕方に金星とポルックスが接近
14日(木) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
16日(土) 夕方~宵、細い月と金星が接近(「今月の星さがし」で解説)
19日(火) 夕方~翌20日未明、月とレグルスが大接近
20日(水) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
このころ、夕方~宵に金星とプレセペ星団が大接近(「今月の星さがし」で解説)
21日(木) 夏至(北半球では、一年のうちで一番夜が短い日)
22日(金) 夕方~深夜、月とスピカが並ぶ
23日(土) 夕方~翌24日未明、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
27日(水) 土星が衝(一晩中見えるので観察の好機です)
28日(木) 満月。次の満月は7月28日(皆既月食)です
夕方~翌29日未明、月と土星が接近
30日(土) 深夜~翌7月1日明け方、月と火星が接近

6月の惑星

水星

下旬ごろから、夕方の西北西の低空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方7時30分ごろ)の高度は約10度で、太陽から大きく離れることのない水星としては好条件です。とはいえ一般に10度はかなり低空です。そのうえ、日の入り30分後はまだ空も明るく、水星の近くに目印となるような天体もないので、好条件とはいえ見つけるのは簡単ではありません。星図アプリなどで位置をよく確かめて、見晴らしの良い場所で探してみてください。約0等級と肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

宵の明星として、夕方から宵の西の空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方7時30分ごろ)の高度は20度を超え、比較的見やすい高さです。マイナス4等級ととても明るいので、肉眼で簡単に見つけられるでしょう。

16日に月齢3の細い三日月と接近します。細い月と金星の共演はたいへん美しい光景ですので、ぜひ眺めたり撮影したりしてみましょう。また、20日前後には「かに座」のプレセペ星団に大接近します。「今月の星さがし」を参考にして観察してみてください。

火星

「やぎ座」を動いています。夜10時に昇ってきて、0時ごろに南東の空、明け方に南の空に見えます。明るさは月初にマイナス1.3等級、月末にはマイナス2等級となります。その明るさと特徴的な赤い色が、深夜の南東の空で大いに目立つことでしょう。7月末の地球最接近に向け今後もさらに明るくなるので、変化を追ってみましょう。

3日の深夜から4日の明け方にかけて、また30日の深夜から7月1日の明け方にも、月と接近します。月と並ぶ赤い星を眺めてみてください。

木星

「てんびん座」にあります。夜9時ごろに真南の空に見え、未明2時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.4等級です。

宵のころに真南に見えるので、観察の好期です。「今月の星さがし」を参考にして、双眼鏡や天体望遠鏡でじっくりと観察してみましょう。科学館などで開催される天体観察会に参加するのもおすすめです。

23日の夕方から24日の未明に上弦過ぎの明るい月と接近します。月と木星が並ぶ光景は肉眼でもはっきりと見えるので、気軽に夜空を見上げてみましょう。

土星

「いて座」にあります。夜8時ごろに昇ってきて、未明1時ごろに南の空に見えます。明るさは約0.1等級です。

今シーズンの土星は最も高くなっても30度ほどなので、「高く昇るのを待って街明かりや大気の影響を少なくする」必然性はあまり大きくありません。下旬になれば21時ごろには南東の空の高度20度くらいまで昇るので、宵のうちからじゅうぶん天体望遠鏡で観察できるでしょう。環が大きく開き太く見える様子を楽しめます。木星と同様に、天体観察会に参加するのもおすすめです。

28日の夕方から29日の未明に満月と接近します。2天体が並んでいる光景を眺めたり、月明かりの中の風景と一緒に撮影したりするのも面白いでしょう。

今月の星さがし

宵の南の空で輝く木星が見ごろです。肉眼、双眼鏡、天体望遠鏡それぞれで観察してみましょう。夕空に見える金星は16日に細い月と接近し、美しい眺めとなります。

木星が見ごろ

宵の頃、南の空の高いところにひときわ明るい星が輝いています。地球の直径の11倍の大きさを持つ太陽系最大の惑星、木星です。木星は先月上旬、地球から見て太陽と反対の位置に来る「衝(しょう)」を迎えました。太陽の反対側ということは一晩中見え、地球からの距離が一番近くなって明るく大きく見えることになるので、観察の絶好機です。

今月も木星の見ごろが続いています。明るさや大きさは先月とほぼ同じで、宵のころに高くなるという点では先月よりも見やすくなっています。ぜひ観察してみましょう。

木星の観察は、肉眼、双眼鏡、天体望遠鏡と方法によって様々な楽しみ方ができます。まず肉眼では、木星の西(南を正面として右)のほうに見える「おとめ座」の1等星スピカや、反対の東のほうに見える「さそり座」の1等星アンタレスと、色や明るさを見比べてみましょう。また、木星のすぐ近くにある「てんびん座」の3等星ズベンエルゲヌビも探してみてください。木星とズベンエルゲヌビの間隔は今月上旬に最も小さくなり、その後しばらくの間は広がっていきますが、7月になると再び近付いていきます。この間隔の変化を見ていると、木星が星々に対して動く「惑星」であることを実感できるでしょう。

さらに、23日の夕方から24日の未明にかけては月との接近も見られます。眺めるだけでなく、地上風景を入れた写真撮影も面白いでしょう。

6月23日 21時(場所は東京)の南の空の様子。囲み内は月と木星付近の拡大イメージ(直径9度)と、木星のズームアップ。広角図では月は大きく描いている

次は双眼鏡での楽しみ方です。木星の周りには60個以上の衛星が見つかっており、このうちとくに大きい4つの「ガリレオ衛星」は双眼鏡で見ることができます。ガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)は動きが速く、一番内側のイオは2日弱で、一番外側のカリストは17日ほどで木星を一周するので、数時間から数日の間にも並び方が変わって見えます。観察するたびごとに、お互いの位置関係や木星からの離れ具合が変化しているのがわかるでしょう。ときどき、衛星が木星の裏に回ったり木星の影に入ったりして、3つ以下しか見えなくなることもあります(衛星が木星のすぐそばにあるときには、木星が明るいため衛星が見づらいこともあります)。

ガリレオ衛星の動き。真ん中の木星の周りを4つのガリレオ衛星が回っている。「イ」=イオ、「エ」=エウロパ、「ガ」=ガニメデ、「ト」=カリスト

天体望遠鏡では、ガリレオ衛星のほかに木星の表面の縞模様が見えます。そのうち2本ほどは比較的わかりやすく、気流(上空の風など)が安定していればもっと多く見えるかもしれません。科学館などでは大きい天体望遠鏡で木星を見せてもらえるので、観察会に参加してみてはいかがでしょうか。木星はわずか10時間ほどで自転しており、タイミングが良ければ「大赤斑(だいせきはん)」という大きな目玉のような模様が見えることもあります。

肉眼を含め観察方法ごとに様々な楽しみ方ができること、いろいろな動きがあり変化が面白いこと、そして何より見つけやすく見やすいことから、木星はオススメの観察対象です。ぜひじっくりと木星を観察してみてください。

16日、細い月と金星の共演

一年のうちで最も昼が長く日の入りが遅い今月から来月にかけては、夜8時ごろになっても空に明るさが残っています。その薄暮の西天でひときわ明るく輝いているのが、宵の明星の金星です。

16日には、この金星の下に三日月が接近してきます。500円玉を持って腕を伸ばすと、ちょうどその大きさくらいの間隔で2天体が並んで見えるでしょう。月と金星の接近現象はおよそ1か月に1回ほどの頻度で起こるので、とても珍しいというわけではないですが、天気の状況や見る人の都合も考えると、目にできる機会は案外多くありません。16日は土曜日で休みという方も多いことでしょう。ご自宅でご家族と一緒に眺めたり、外出先で夕景や夜景の中に浮かぶ月と金星を探したりしてみてはいかがでしょうか。

6月16日 20時(場所は東京)の西の空の様子。囲み内は双眼鏡で見たイメージ(直径7度)で、上の囲みは金星とプレセペ星団の接近の様子。広角図では月は大きく描いている。薄い線は「かに座」の大まかな形を表している

翌日17日になると月は少し太くなって、金星の左上まで動きます。まだ「並んでいる」という印象で見ることができますが、1日で月が大きく動くことを実感できるでしょう。

月だけでなく、金星もゆっくりと星々の間を動いています。20日前後には、金星が「かに座」にあるプレセペ星団という星の集まりのすぐ近くを通り過ぎていく現象が見られます。プレセペ星団は、空が暗いところであれば肉眼でも見えるほど目立つ天体ですが、さすがに夕暮れ空の中(しかも低空)では肉眼では見えません。上の図を参考にして、双眼鏡で金星の近くを眺めてみましょう。10個ほどの星が群れているそばに、金星が眩しいほど輝いている様子を、ぜひ確かめてみてください。

今月の星座

うしかい座、かんむり座

夜9時ごろ、南の空には木星が明るく目立って輝いています。その木星からさらに高いところを見上げると、オレンジ色の明るい星が見つかります。全天でも屈指の明るさを誇る0等級の輝星、「うしかい座」のアルクトゥールスです(アークトゥルスなどとも表記されます)。「熊の番人」という言葉に由来する星の名前は、隣に位置している「おおぐま座」を見張っていることから付けられたものでしょう。日本では、麦の穂が実るころに天高く見えることから「麦星」という名前でも呼ばれていました。

「うしかい座」「かんむり座」

「うしかい座」の星は、アルクトゥールスを頂点の一つとして、ネクタイのような細長い形に並んでいます。明るいアルクトゥールスを目印に星をたどってみましょう。アルクトゥールスとその南にある「おとめ座」のスピカ、西にある「しし座」のデネボラを結ぶと、「春の大三角」になります。ページ上部の半円形の星図で確かめてみてください。アルクトゥールスとスピカ、木星を結んでできる大きな二等辺三角形もよく目立ちます。また、「北斗七星」の柄の星をつないで伸ばしていくと、アルクトゥールス、スピカへと続く大きなカーブ「春の大曲線」が描けます。北から南へと夜空を大きく横切るカーブを仰いでみましょう。

「うしかい座」の東には、半円状に星が並んだ「かんむり座」があります。暗い星が多いのですが、2等星のアルフェッカは街中でも見つけられます。アルフェッカは「欠けたもの」という言葉に由来し、「かんむり座」の星の並びが完全な円ではないことからの命名と考えられます。別名はゲンマといい、これは「宝石」という意味です。冠にふさわしい名前ですね。

二重星イザール

「うしかい座」で2番目に明るい星、2等星のイザールは、黄色っぽい星と青っぽい星が並んだ美しい二重星です。別名プルケリマは「最も美しいもの」という意味の言葉に由来するものです。

2等星なのでイザールを見つけるのは難しくありませんが、分離して2つの星として見るためには性能の良い天体望遠鏡が必要です。口径10cm程度以上の天体望遠鏡で、やや倍率を高めにして観察してみましょう。観察会などで見せてもらうのもおすすめです。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は6月中旬の深夜1時ごろの星空です。7月中旬の深夜11時ごろ、8月中旬の夜9時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2018年6月中旬 深夜1時ごろの星空

宵のころ真南に見えていた木星は南西の空に低くなりました。入れ替わって真南に来るのは土星です。さらに南東には火星の赤い輝きも目立ちます。3惑星それぞれの色や明るさを見比べてみましょう。とくに火星は7月末の地球最接近に向け、今後ますます明るくなっていくので見ものです。休日の前日であれば、天体望遠鏡でじっくりと惑星を観察するのも楽しそうですね。

土星が輝くあたりには「いて座」があります。北斗七星に似た「南斗六星」という星の並びが目印です。また、「いて座」の西、土星と木星の間あたりには「さそり座」が全身を現しています。赤い1等星アンタレスと、S字型に並んだ星を見つけてみましょう。

頭の真上に輝くのは「こと座」の1等星ベガ、七夕の織姫星として有名な星です。パートナーの彦星は、ベガの南にある「わし座」の1等星アルタイル。さらに、ベガの東にある「はくちょう座」の1等星デネブも見つけられれば、「夏の大三角」のできあがりです。空が暗いところでは、夏の大三角から土星のあたりに向かって天の川も見えるかもしれません。

一年のうちで最も夜が短く、そのうえ雨が多いこの時期は、夜空を眺める機会が少なくなってしまうかもしれません。貴重なチャンスを逃さずに星や月を見上げましょう。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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