Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

2018年5月の星空

宵のうち、木星が東の空に見える季節になり天体望遠鏡で探しやすくなってきました。縞模様やガリレオ衛星を観察してみましょう。未明から明け方に見える火星と土星は、ゴールデンウィークのころ月との共演が楽しめます。星座の世界では春の大三角が南の空に大きく広がり、北斗七星が北天高くに見えています。

星空写真

白駒池にて
標高2,115メートルに位置する白駒池に浮かぶ氷塊と薄明時に昇る『夏の大三角』を組み合わせた作品です。薄明のグラデーションと天の川、氷塊の描写が、絶妙のバランスで表現できました。

2015年4月26日 3時20分
ニコン D4S+AF-S Nikkor 14-24mm f/2.8G(14mm、ISO 12800、露出15秒を4枚合成、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一

5月の星空

南の空

南の空

2018年5月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(29日)、上弦(22日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2018年5月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(火) 未明~明け方、月と木星が接近
2日(水) このころ、夕方に金星とアルデバランが並ぶ
5日(土) 立夏(こよみの上で夏の始まり)
未明~明け方、月と土星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
6日(日) 未明~明け方、月と火星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
みずがめ座η流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
7日(月) 未明~明け方、月と火星が並ぶ(前日とは並び方が変わります。「今月の星さがし」で解説)
8日(火) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
9日(水) 木星が衝(一晩中見えるので観察の好機です。「今月の星さがし」で解説)
15日(火) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
17日(木) 夕方~宵、細い月と金星がやや離れて並ぶ
18日(金) 夕方~宵、細い月と金星がやや離れて並ぶ(前日とは並び方が変わります)
22日(火) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
夕方~深夜、月とレグルスが接近
27日(日) 夕方~翌28日未明、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
29日(火) 満月。次の満月は6月28日です
31日(木) 深夜~翌6月1日明け方、月と土星が接近

5月の惑星

水星

20日ごろまで、明け方の東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で朝4時から4時20分ごろ)の高度は5度未満と非常に低く、目印になるような明るい天体も近くにないので、見つけるのはかなり難しいでしょう。星図アプリなどで位置をよく確かめて探してみてください。約0等級と肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

宵の明星として、夕方から宵の西の空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方7時10分ごろ)の高度は20度ほどで、4月以前と比べるとやや高くなり見つけやすくなりました。マイナス4等級ととても明るいので、建物などに遮られなければ肉眼で簡単に見つけられるでしょう。

17日に月齢2の細い三日月と、翌18日も月齢3の細い月と、やや離れて並びます。細い月と金星の共演はたいへん美しい光景ですので、ぜひ眺めたり撮影したりしてみましょう。

火星

「いて座」から「やぎ座」へと動いていきます。夜11時から0時ごろに昇ってきて、未明から明け方に南東から南の空に見えます。月初の明るさはマイナス0.4等級でかなり目立ちますが、月末にはマイナス1.2等級と、さらに約2倍も明るくなります。明るくなるにつれて特徴的な赤い色もいっそう目立つようになるでしょう。7月末の地球最接近に向け今後もどんどん明るくなるので、長期にわたって変化を追ってみましょう。

6日と7日の未明から明け方に、下弦前の月と並びます。ゴールデンウィーク終盤、もし夜更かししていたら、月と火星の共演を眺めてみてはいかがでしょうか。

木星

「てんびん座」にあります。夜8時ごろに南東のやや低いところ、11時から0時ごろに南の空に見えます。明るさは約マイナス2.5等級です。

宵のうちに見やすい高さになり、ほぼ一晩中見えるので、観察の好期です。双眼鏡では木星の周囲を回る4個のガリレオ衛星のうちいくつかが見え、天体望遠鏡を使うと衛星のほかに本体の縞模様も見えます。機材をお持ちの方はじっくりと観察してみましょう。

1日の未明から明け方に月と接近します。また、27日の夕方から28日の明け方にも月と接近します。この時期に夜空に見える最も明るい天体2つの共演を、肉眼や双眼鏡で眺めてみてください。

土星

「いて座」にあります。夜10時ごろに昇ってきて、朝3時ごろに南の空に見えます。明るさは約0.1等級です。

日付が変わる前の時間帯にはまだ地平線に近く、未明から明け方になってから高くなるので、天体望遠鏡での観察にはやや不適ですが、意欲のある方は望遠鏡を向けてみましょう。昨年に引き続き、環の幅が広く見える様子を楽しめます。

5日の未明から明け方に月と大接近します。また、31日の深夜から6月1日の明け方にも月と接近します。環が見えなくても、月と土星が並ぶ光景には想像力や好奇心をかき立てるものがあります。少し夜更かしして、眺めてみてはいかがでしょうか。

今月の星さがし

ゴールデンウィークの終盤、未明から明け方の南東の空で月と火星や土星が並んで見えます。条件はあまり良くありませんが、みずがめ座η流星群もチェックしておきましょう。中旬ごろからは、宵空の木星が見やすくなります。

5月5日~7日、月と惑星の接近、みずがめ座η流星群

未明から明け方、南東から南の空に、やや離れて2つの明るい星が並んでいるのが目につきます。右側にあるクリーム色の星が土星、左側の赤っぽい星が火星です。先月の上旬ごろにはこの2つの惑星が見かけ上大接近し、だいたい同じ明るさに見えていました。今月は火星が土星から離れ、土星よりもずっと明るくなっています。これから先、火星と土星の間隔も明るさの差もさらに大きくなっていくので、継続して観察してみましょう。

この2惑星に、5日から7日にかけて下弦前の月が接近し、近くを通り過ぎていくように見えます。それぞれの日で月と惑星の並び方が変わり、月が少しずつ細くなっていきます。並んでいる光景は肉眼でもよく見えますが、双眼鏡を使うと月の模様や惑星の色がよりわかりやすくなるでしょう。図では午前2時の様子を示していますが、実際には0時から4時ごろ(空が明るくなるころ)まで見ることができます。

5月5日から7日までの、朝2時の南東から南の空の様子(場所は東京)。囲み内は双眼鏡で見たイメージ(直径7度)

また、6日と7日の未明から明け方、つまり月と火星が並んで見える両日には、みずがめ座η流星群の活動がピークになると予想されています。8月のペルセウス座流星群や12月のふたご座流星群ほど多くの流れ星が飛ぶわけではありませんが、毎年ゴールデンウィークの終わりごろに、まとまった数の流れ星が見られる流星群です。

5月6日 未明3時(場所は東京)の空全体の様子。流れ星は、放射点が位置する東の空だけではなく、あちこちに飛ぶ

「η(エータ、イータ)」は星の符号で、「みずがめ座」のη星付近にある放射点(流れ星が飛ぶ中心の方向)を中心として四方八方に流れ星が飛ぶように見えることから、このような流星群の名前で呼ばれています。明け方ごろ放射点は東の低空にありますが、流れ星は空のどの方向にも飛びますので、東だけでなく空を広く見渡すようにしましょう。

今年は月明かりの影響が大きいため、街明かりがなく視界が開けているような場所でも、1時間に10個程度の予想です。なるべく月から離れた方向を中心に眺めると、流れ星を目にできる可能性が高くなります。

流れ星観察には月明かりは嬉しくないものですが、月が火星や土星と並ぶ様子は見ものです。あくまでもメインは月と惑星と割り切り、運が良ければ流れ星も見えるかもしれない、という大らかな気持ちで空を見上げるのも良いでしょう。未明から明け方の現象ですので、連休中とはいえあまり無理もしないようにしてください。

木星が見ごろ

宵のころ、南東の空に木星が目立って見えています。これから8月ごろまで、木星が観察しやすいシーズンです。今月9日には木星が地球を挟んで太陽と正反対の位置に来る「衝(しょう)」という状態を迎えます。太陽の正反対ということは一晩中見えるので、それだけ観察できる時間が長くなるわけです。

木星はだいたい1年ごとに、黄道12星座(いわゆる誕生星座)を1つずつ動いていきます。昨年は「おとめ座」にあり1等星スピカと並んでいた木星は、今年はその隣の星座である「てんびん座」に位置しています。「てんびん座」には明るい星がないので、まるで木星が「てんびん座」を代表する星であるかのような印象を受けそうです。よく見ると木星のすぐそばに3等星ズベンエルゲヌビがあるのがわかるかもしれません。

また、スピカと木星、さらに「さそり座」の1等星アンタレスがおおむね等間隔で並んでいるのも見ものです。3つの明るい星の色が違うことにも注目してみてください。

5月27日 21時(場所は東京)の南東から南の空の様子。囲み内は双眼鏡で見たイメージ(直径7度)と、木星の拡大。広角図では月は大きく描いている

27日の夕方から28日の明け方にかけては、月と木星が接近する現象が見られます。満月2日前の明るく丸い月と木星のペアを眺めてみましょう。街の風景などと一緒に見たり撮ったりするのもおすすめです。

双眼鏡を使うと周りの景色から切り取られた月と木星だけの世界を観察することになり、宇宙をのぞき見る感覚を楽しめます。月の模様がよく見え、木星の周囲にある衛星(イオ・エウロパ・ガニメデ・カリスト)もいくつか見えるかもしれません。月がまぶしく衛星が見にくい場合は、月を双眼鏡の視野から外すと少し見やすくなります。

天体望遠鏡では見える範囲が狭いため、月と木星の両方を一度に見ることはできませんが、月の模様や木星の衛星がさらに見やすくなります。木星の表面の縞模様もわかるでしょう。

肉眼、双眼鏡、天体望遠鏡、それぞれの見え方を楽しんでみてください。木星については、来月も詳しくご紹介する予定です。

今月の星座

りょうけん座

夜8時から9時ごろ、真南の空に「春の大三角」が見えています。その春の大三角からさらに高いところ、頭の真上あたりに見えるのが「りょうけん(猟犬)座」です。反対の北の空から見つける場合には、北斗七星の柄を目印として位置の見当をつけられます。

「りょうけん座」(星団と銀河の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

「りょうけん座」で一番明るい星は3等星のコルカロリ(「チャールズの心臓」が名前の由来)で、空が明るいところでは、少し見つけにくいかもしれません。春の大三角とコルカロリを結んでできる、大きなひし形をイメージして探してみましょう。このひし形は「春のダイヤモンド」と呼ばれることがあります。

「りょうけん座」はこのほかにも明るい星がなく、あまり目立たない星座です。星座絵には2匹の犬が描かれていますが、その姿を思い浮かべるのはちょっと難しそうです。とはいえ今年は戌年ですから、2月号で紹介した「おおいぬ座」「こいぬ座」と共に、この「りょうけん座」も忘れずに見ておきましょう。

二重星コルカロリ

「りょうけん座」は、星座そのものは目立ちませんが、見ものの天体が数多くあります。たとえば、コルカロリは美しい二重星として知られています。

肉眼では1つの星にしか見えませんが、天体望遠鏡で見ると3等星と6等星が寄り添っているのがわかります。色の対比が美しい二重星として知られているので、ぜひ実際に観察してみましょう。

球状星団 M3

次の見ものは、数十万個の星々がボール状に丸く集まった天体、球状星団のM3(Mはカタログの符号)です。コルカロリと、隣の「うしかい座」の1等星アルクトゥールスとの間あたりにあります。

肉眼で見るのは難しいですが、双眼鏡を使うと少しにじんだように見え、1つの星ではないことがわかります。公開天文台などの大型の天体望遠鏡で観察すると、星の集団であることが、よりハッキリとわかるでしょう。機会があれば、ぜひ観察してみてください。

子持ち銀河 M51

数ある「りょうけん座」の見もののうち、とくに有名なのが渦巻銀河のM51です。大小2つの銀河が並んでいることから「子持ち銀河」という愛称で知られており、親子の銀河が腕をつないでいるように見えます。

大きいほうの銀河は比較的明るいので、空の条件が良ければ双眼鏡でも見つけられるでしょう。北斗七星の柄の一番端の星とコルカロリを結ぶ線上の、北斗七星よりのところにあります。好条件に恵まれたら、ぜひ探してみてください。

天体写真では、大きい銀河の鮮やかな色や美しい渦巻き模様、小さい銀河の黄色っぽい色などがよくわかります。図鑑やインターネットの画像で楽しんでみましょう。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は5月中旬の深夜1時ごろの星空です。6月中旬の深夜11時ごろ、7月中旬の夜9時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます)。

2018年5月中旬 深夜1時ごろの星空

北西の空に「北斗七星」が、南西の空に「春の大三角」が見えています。春を代表するこれらの星々や今月ご紹介した「りょうけん座」は、深夜になれば西の空へと移り、主役の座を夏の星々に譲ります。

その夏の星々では、「さそり座」の1等星アンタレスや「夏の大三角」を構成する3つの1等星などが目立ちますが、今年はそれら1等星よりも3つの惑星が目立っています。南西に見えるひときわ明るい木星と、南東に見えるクリーム色の土星、そして赤っぽい火星です。木星は宵空にも見えていましたが、土星や火星の見ごろはもう少し先のシーズンです。深夜の空に見つけたら、夏への期待が高まりそうですね。

暖かくなったおかげで、星空を気軽に見上げられるようになってきました。春先までよりちょっと長めに、ゆったりとした気分で、星空や月を眺めてみてください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

星空観察のワンポイントアドバイス