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Japan

2018年4月の星空

空が暗くなるころ、「オリオン座」などが南西の空に傾き、「しし座」が南東の空を駆け上がっていきます。夜空に春を感じる、象徴的な光景です。花粉や春霞に悩まされる季節でもありますが、お花見や夜の散歩と一緒に、星空も楽しみましょう。深夜から明け方には木星、火星、土星が見えてにぎやかです。

星空写真

新道峠にて
御坂山塊新道峠から富士山、河口湖を望み、その頭上に輝くうみへび座を撮影した。2等星が1つであとは3等星以下の星しかない星座だが、月が沈み小さな星々が輝き始めたこの時間には、全天で一番大きなこの星座をたどることができた。

2017年12月29日 4時26分
ニコン D800E+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(14mm、ISO 2000、露出30秒、f/4)
撮影者:鈴木 祐二郎

4月の星空

南の空

南の空

2018年4月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(30日)、上弦(23日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2018年4月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(日) 宵~翌2日未明、月とスピカが並ぶ
3日(火) このころ、未明から明け方に火星と土星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
深夜~翌4日明け方、月と木星が接近
8日(日) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
未明~明け方、月と火星、土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
16日(月) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
18日(水) 夕方~宵、細い月と金星がやや離れて並ぶ
19日(木) 夕方~宵、細い月とアルデバランが接近
23日(月) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
24日(火) 夕方~翌25日未明、月とレグルスが接近
25日(水) このころ、夕方に金星とプレアデス星団が接近(「今月の星さがし」で解説)
29日(日) 未明~明け方、月とスピカが並ぶ
30日(月) 満月。次の満月は5月29日です
宵~翌5月1日明け方、月と木星が接近

4月の惑星

水星

下旬以降、明け方の東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で朝4時20分ごろ)の高度は5度ほどと低く、目印になるような明るい天体も近くにないので、見つけるのはかなり難しいでしょう。星図アプリなどで位置をよく確かめて探してみてください。肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

宵の明星として、夕方の西の低空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方6時45分ごろ)の高度は15度ほどと低いのですが、とても明るいので、見晴らしが良いところなら肉眼で簡単に見つけられるでしょう。

18日に月齢2の細い三日月とやや離れて並びます。細い月と金星の共演はたいへん美しい光景ですので、ぜひ眺めたり撮影したりしてみましょう。また、25日前後に「おうし座」のプレアデス星団と並んで見えます。「今月の星さがし」を参考にして、双眼鏡で眺めてみましょう。

火星

「いて座」にあります。0時30分ごろに昇ってきて、明け方に南東から南の空に見えます。明るさは月初には0.3等級ですが月末にはマイナス0.4等級まで明るくなります。今年の夏から秋には地球と大接近してさらに明るく赤く見えるようになるので、長期にわたって変化を追ってみましょう。

月の半ばごろまで土星と接近して見えます。最接近の3日を中心に、前後の日で並び方が変化していく様子を楽しめます。また、8日には火星と土星の近くに半月も並び、3天体が集合します。未明から明け方の現象ですが、少し夜更かしして眺めてみてはいかがでしょうか。

木星

「てんびん座」にあります。夜8時ごろに昇ってきて、1時30分ごろに南の空に見えます。明るさは約マイナス2.4等級です。

未明から明け方に南の空で、とても明るく輝いています。双眼鏡では木星の周囲を回る4個のガリレオ衛星のうちいくつかが見え、天体望遠鏡で観察すると衛星のほかに本体の縞模様も見えます。機材をお持ちの方はじっくりと観察してみましょう。

3日の深夜から4日の明け方に月と接近します。また、30日の宵から5月1日の明け方にも満月と接近します。肉眼や双眼鏡で共演を楽しみましょう。

土星

「いて座」にあります。0時ごろに昇ってきて、明け方の南の低空に見えます。明るさは約0.2等級です。先月までと比べるとやや高くなり、少し見やすくなりました。明け方の時間帯ですが、天体望遠鏡をお持ちの方は環を観察してみましょう。

肉眼や双眼鏡では、火星と接近している光景が月の半ばごろまで楽しめます。最接近の3日を中心に、前後の日で並び方が変化していく様子を見てみましょう。また、8日には土星と火星の近くに半月も並び、3天体が集合します。少し夜更かしして眺めてみてはいかがでしょうか。

今月の星さがし

月の半ばごろまで、未明から明け方の南東の空で火星と土星が接近して見えます。日々変化する並び方を追ってみましょう。下旬には夕空で、宵の明星がプレアデス星団「すばる」の近くに並んで見えます。

未明から明け方、火星と土星が大接近

未明から明け方の空で、火星の赤い輝きが目立つようになってきました。これから7月末の地球最接近に向けますます明るくなり、宵空に見えるようになるのでいっそう人目を引いて話題になるでしょう。今月上旬にはその火星が、同じく未明から明け方の空に輝く土星と大接近する現象が起こります。最接近するのは3日ごろです。

3月27日から4月11日まで、3日おきに見た朝4時の南東から南南東の空の様子(場所は東京)。囲み内は双眼鏡で見たイメージ(直径7度)で、火星や土星は大きめに描画している(実際には、双眼鏡では模様や環はほぼ見えない)。空の色や天の川の見え方が変わるのは月明かりのため

ところで、惑星同士が並んだり離れたりするのはなぜでしょうか。地球と火星、土星は、太陽の周りをそれぞれの周期(地球は1年、火星は約1.9年、土星は約30年)で公転しています。公転している惑星同士の位置関係により、地球から見て火星や土星がどの星座の方向にあるか、お互いの並び方がどうなるかは常に変わります。とくに火星は地球と近いこともあり、見かけの位置がどんどん変化します。その結果、火星が今月上旬に土星に追いつき追い越していくように見えるのです。大きな視点で考えると、「火星と土星が最接近して見える3日ごろには、地球と火星、土星が一直線に並んでいる」ということになります。

こうした理屈や原理を考えながら夜空を見上げるのも面白いのですが、2つの明るい惑星が並んでいるのを単純に美しいと感じて眺めるのも、もちろん楽しいことです。色の対比を味わったり、最接近のころだけでなくその前後の期間で並び方が変わる様子を確かめたりしてみましょう。

なお、8日は火星と土星の近くに半月もやってきます。3天体が双眼鏡の視野内に同時に入るほど集まるチャンスはなかなかないので、ぜひ早起きか夜更かしをして、3天体共演を観察してみましょう。この集合を大きな視点で考えてみたい方は、月・火星・土星までの距離の違いや天体の大きさの違いなどを調べてみてはいかがでしょうか。

夕空で金星とプレアデス星団が接近

夕方の西の空には、宵の明星の金星が一番星として輝いています。今月下旬ごろから金星は「おうし座」の領域に入り、月末ごろまで「プレアデス星団」と並んで見えるようになります。最接近は25日ごろです。

4月21日から28日まで、1日おきに見た夕方の西の空の様子(場所は東京)。全体図で線は10度間隔。囲み内は双眼鏡で見たイメージ(直径7度)

日の入りから間もないうちは空が明るく、時間が遅くなると金星やプレアデス星団が沈んでしまうので、観察するタイミングがなかなか難しいのですが、日の入りから1時間後(東京で夜7時30分ごろ)くらいを目安にして西の空を眺めてみましょう。プレアデス星団は双眼鏡があると見やすくなります。地平線からの高度が10~15度ほどしかなく、街明かりの影響を受けたり建物の影に隠れたりしやすいので、なるべく見晴らしの良いところで観察してみてください。地上風景を取り入れた写真撮影も面白いでしょう。

プレアデス星団は「すばる」という和名がよく知られています。約1000年前、清少納言は『枕草子』の中で「星はすばる。……ゆうづつ。……」(星といえば「すばる」や「ゆうづつ=宵の明星」が良い)と記しました。はるか昔から親しまれてきた「すばる」と「ゆうづつ」が並んでいる夕景、ぜひ眺めてみてください。

今月の星座

うみへび座

「うみへび座」は、全天に88個ある星座のうち最も大きな星座です。東西に長く伸びており、頭の先の星が昇ってきてから尾の先の星が昇ってくるまでに約8時間もかかります(東京の場合)。宵の時間帯に見やすいのは4月から5月ごろですが、明るい星は2等星のアルファルドしかないので、蛇の姿を見つけるのは難しいかもしれません。

「うみへび座」「ろくぶんぎ座」「コップ座」「からす座」(銀河の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

4月の中旬ごろには、夜の9時から10時ごろ南の空に頭から尾まで見えているので、双眼鏡を使うなどして星を一つずつたどってみましょう。目安としては「しし座」のレグルスあたりに蛇の頭があり、アルファルドが心臓、さらに左(東)へたどって「おとめ座」のスピカを通り過ぎたあたりが尾になります。なお、星座の星のつなぎ方に決まりはないので、「何となくこんな感じで蛇!」とつないでも大丈夫です。ギリシャ神話では9本の首を持った怪物ヒドラとされていますが、この星の配列から9本全部を想像するのは難しそうです。

ろくぶんぎ座、コップ座、からす座

この「うみへび座」は、背中にいくつかの星座を乗せています。アルファルドの左あたりには、天体観測で角度を測るのに用いられる道具をモチーフとした「ろくぶんぎ(六分儀)座」、スピカの右のあたりには、4つの星が台形に並んで見える「からす座」があり、その2つの星座の間にトロフィーのような形の「コップ座」があります。

「ろくぶんぎ座」と「コップ座」はかなり暗いので見つけづらいのですが、「からす座」の4つの星はいずれも3等星(2.6~3.0等級)なので、月明かりや街灯がなければ肉眼でもよくわかります。スピカを目印に、闇に紛れた「からす」の姿を見つけてみましょう。

南の回転花火銀河 M83

「うみへび座」の尾のあたりにある渦巻銀河M83(Mはカタログの符号)は、「南の回転花火銀河」という愛称がつけられた見事な渦巻銀河です。ちなみに「(北の)回転花火銀河」は「おおぐま座」のM101で、こちらもやはり見事な渦巻銀河です。

観望や撮影の対象として人気の銀河ですが、中心部以外の腕の部分は淡く、また日本からは高度が低いため、立派な姿をとらえるのは難しいかもしれません。好条件の空に恵まれれば、ぜひ探してみてください。インターネットで検索すると大型望遠鏡で撮影されたカラフルな画像を見ることができるので、観察や撮影の道具がなくても楽しめます。

アンテナ銀河

「からす座」にも「アンテナ銀河」という有名な銀河があります。アンテナとは触角のことですが、画像中の明るい部分の左、上下に伸びる淡い部分が触角のように見えるでしょうか。

アンテナ銀河は2つの銀河が衝突している現場で、明るい部分はそれぞれの銀河の中心部です。近接したために重力の影響で形がゆがみ、一部が引き伸ばされたのが触角部分というわけです。また、衝突している中心付近では激しい勢いで星が生み出されています。こちらもインターネットで検索してみると、宇宙望遠鏡などで撮影された画像がたくさん見られます。不思議な形状や鮮やかな色合いを楽しみながら、銀河の衝突という壮大な現象に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は4月中旬の深夜1時ごろの星空です。5月中旬の深夜11時ごろ、6月中旬の夜9時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます)。

2018年4月中旬 深夜1時ごろの星空

今月ご紹介した「うみへび座」が南西の空に横たわっています。頭の部分やアルファルドは沈みかけていますが、尾の先はやっと真南に来たところです。星座の大きさや長さが実感できるでしょう。その尾のさらに東には木星や「さそり座」のアンタレスが輝き、地平線近くには火星と土星が並んでいるのが見えます。

西を向いて空の高いところを見上げると、右から左(北西から南西)に大きくカーブした「春の大曲線」をたどることができます。「北斗七星」、「うしかい座」のアルクトゥールス、「おとめ座」のスピカ、さらに「からす座」と続くアーチをたどってみましょう。反対の東の空には「夏の大三角」も見え始めています。

新生活の疲れや慌ただしさのため、4月はあまり夜更かしができないかもしれません。しかし、もし眠るのが遅くなってしまったら、夜空を見上げて星々をつないだり、惑星の輝きに触れたりしてみましょう。きっと気分がリフレッシュできるはずです。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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