Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

2018年3月の星空

約1年ぶりに宵の明星の金星が、一番星として夕空に輝きます。春の訪れを教えてくれるかのように、毎日少しずつ高くなっていきます。
空が暗くなり金星を追うように冬の星座たちが沈んでいくと、宵空には「しし座」や「北斗七星」など春を代表する星々が見え始めます。星座の移り変わりにも季節の変化を感じてみてください。

星空写真

北軽井沢にて
3月に入ると未明に夏の銀河が昇ってきます。対角魚眼レンズで朝焼けと昇ったばかりの夏の銀河を一網打尽的に作画してみました。

2016年3月21日 4時40分
ニコン D810A+AF DX Fisheye-Nikkor 10.5mm f/2.8G ED(ISO 6400、露出10秒×4枚、f/開放)
撮影者:高岡 誠一

3月の星空

南の空

南の空

2018年3月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(2日(しし座)/31日(おとめ座))、上弦(25日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2018年3月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(木) 夕方~翌2日未明、月とレグルスが接近
2日(金) 満月。次の満月は3月31日です
4日(日) このころ、夕方の西の低空で水星と金星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
8日(木) 未明~明け方、月と木星が並ぶ
9日(金) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
10日(土) 未明~明け方、月と火星が接近(「今月の星さがし」で解説)
11日(日) 未明~明け方、月と土星が接近
16日(金) このころ、夕方の西の低空で水星がやや見やすい(「今月の星さがし」で解説)
17日(土) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
19日(月) 夕方、細い月と金星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
21日(水) 春分
22日(木) 宵~深夜、月とアルデバランが接近
23日(金) 夕方~宵、月とアルデバランが並ぶ(前日とは並び方が変わります)
25日(日) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
28日(水) 夕方~翌29日明け方、月とレグルスが大接近
31日(土) 満月。次の満月は4月30日です

3月の惑星

水星

20日ごろまで、夕方の西の低空に見えます。

中旬ごろには日の入り30分後(東京で夕方6時20分ごろ)の高度が10度ほどになります。これは水星としては最良の条件と言えるほど見やすい高さです。さらに、とても明るい金星が水星のすぐ近くで輝いているので、金星を目印にすると比較的簡単に水星を見つけることができます。「今月の星さがし」を参考にして金星との位置関係を確かめ、ぜひ水星を見てみましょう。

金星

宵の明星として、夕方の西の低空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方6時20分ごろ)の高度は10度ほどと低空ですが、とても明るいので、見晴らしが良いところなら肉眼で簡単に見つけられるでしょう。とくに今月は近くに水星も輝いているので、金星を見つけたら水星も探してみてください。

19日に月齢2の細い三日月と並んで見えます。細い月と金星の共演はたいへん美しく、夕方の風景と共に写真に収めるのもお勧めです。ほぼ真西に見えるので、あらかじめランドマークなどを探しておくと良いでしょう。

火星

「へびつかい座」から「いて座」へと動いていきます。1時ごろに昇ってきて、明け方に南東から南の空に見えます。明るさは月初には0.8等級ですが月末には0.3等級まで明るくなります。

日の出1時間前(東京で朝4時30分から5時ごろ)の高度は30度ほどで、やや低めではありますがよく見えます。今年の夏から秋には地球と大接近してさらに明るく赤く見えるようになるので、長期にわたって変化を追ってみましょう。今月は天の川を横断して「いて座」の「南斗六星」へと近づいていきます。空の暗いところであれば、月明かりの影響が小さくなる中旬から下旬にかけて天の川の中に火星が見えそうです。

10日に下弦過ぎの月と接近します。肉眼や双眼鏡で眺めてみましょう。また月末から来月上旬には土星と大接近します。惑星同士の間隔がどんどん小さくなっていく様子を確かめてみてください。

木星

「てんびん座」にあります。夜10時30分ごろに昇ってきて、3時30分ごろに南の空に見えます。明るさは約マイナス2.3等級です。

未明から明け方に南東から南の空で、とても明るく輝いている黄色っぽい色の木星は簡単に見つかります。双眼鏡では木星の周囲を回る4個のガリレオ衛星のうちいくつかが見え、天体望遠鏡で観察すると衛星のほかに本体の縞模様も見えるでしょう。

8日に下弦前の月と並びます。肉眼や双眼鏡で共演を楽しみましょう。

土星

「いて座」にあります。2時ごろに昇ってきて、明け方の南東の低空に見えます。明るさは約0.3等級です。まだ低いので、天体望遠鏡での観察にはあまり向いていません。

11日に月と接近します。肉眼や双眼鏡で眺めてみましょう。また月末から来月上旬には火星と大接近します。惑星同士の間隔がどんどん小さくなっていく様子を確かめてみてください。

今月の星さがし

金星が約1年ぶりに夕空に戻ってきました。一番星として輝く宵の明星のそばには水星も見えます。また、未明から明け方には火星・木星・土星が見えています。とくに火星の動きや赤さ明るさに注目してみましょう。

夕空の水星と金星

先月末ごろから、夕方の西の空に宵の明星の金星が見えるようになってきました。夕空の金星は昨年3月以来、約1年ぶりです(昨年4~11月ごろは明けの明星、それ以降は太陽のそばでした)。まだ太陽からあまり離れておらず高度も低いのですが、約マイナス4等級ととても明るいので、建物や山などに隠れさえしなければよく目立ちます。日の入り30分後(東京で夕方6時20分ごろ)に西の空を眺めて探してみましょう。

今月中旬ごろまで、この金星の近くに水星も見えています。水星もマイナス1等級~0等級と明るい天体なので、位置さえわかっていれば肉眼で見つけられるのですが、明るさの残る夕空の中ではなかなか位置の見当がつけられません。今月は金星が良い目印になるので、金星を手がかりにして水星を見つける絶好のチャンスです。

3月4日から19日まで、3日おきに見た夕方の西の空の様子(場所は東京)。全体図で線は10度間隔、月は大きめに描画している。囲み内は双眼鏡で見たイメージ(直径7度)

水星と金星は4日ごろに最接近し、その後は少しずつ間隔が広がっていきますが、中旬ごろまでは双眼鏡の同一視野内に見えるくらいの間隔です。まず金星を見つけ、その右から右上あたりを肉眼や双眼鏡で探してみると水星が見えるはずです。空の暗さ(日没からの時間)や空の澄み具合などによって水星の見やすさが変わるので、1回2回の挑戦で見えなくても何度かチャレンジしてみてください。一度見え方がわかれば、次からはもっと簡単に水星を見つけられるようになるはずです。

19日には水星、金星の左のほうに月齢2の細い三日月も接近し、3天体が集まった美しい夕景となります。眺めるだけでなく、写真にも記録してみてはいかがでしょうか。水星は空に埋もれて写らないかもしれませんが、三日月と金星のペアは比較的写しやすいので、ぜひ撮ってみましょう。

未明から明け方に3惑星、火星は天の川を横断

先月に続いて今月も、未明から明け方の南東から南の空に火星・木星・土星の3惑星が見えています。一番右(南寄り)にある高く明るい星が木星、一番左(東寄り)にある低い星が土星で、その間にある赤っぽい星が火星です。木星と火星の間あたりには「さそり座」の赤い1等星アンタレスも見え、明るくカラフルな4つの星が並んでいます。8日から11日ごろには月も加わり、いっそうにぎやかな光景が楽しめます。

3月1日から31日まで、3日おきに見た朝4時の南東から南南東の空の様子(場所は東京)。全体図で線は10度間隔、月は大きめに描画している。10日、19日、31日の囲み内は双眼鏡で見たイメージ(直径7度)。空の色や天の川の見え方が変わるのは月明かりのため

3惑星の中でとくに注目したいのは、これも先月に続いて火星です。先月中旬ごろはアンタレスと並び赤さ明るさ比べをしていた火星は、アンタレスから離れて「いて座」の領域へと移ります。「さそり座」と「いて座」の境界付近は天の川が特に濃く太くなっているところで、今月はちょうどそのあたりを火星が横断していくように動いていきます。街明かりや月明かりがあると天の川は見えませんが、空の条件の良いところで月が出ていないタイミングを選べば、天の川と火星を見ることができるでしょう。双眼鏡で観察すると、たくさんの星々と共に火星が見えるはずです。

とくに19日、20日ごろには、「いて座」に位置する干潟星雲、三裂星雲という星雲の間を火星が通り過ぎていくように見えます。空の暗いところで双眼鏡で眺めたり写真に撮ったりしてみましょう。なお、星図では星雲に色がついていますが、双眼鏡や天体望遠鏡を使って観察したとしても色はほぼ見えないので注意してください。

また、月末ごろには火星と土星がかなり接近して見えるようになります。日を追うごとに近づいていく様子を確かめてみましょう。最接近は来月3日ごろです。

ところで、夕方に水星と金星を、未明から明け方に火星・木星・土星を見ると、見やすい5惑星を一晩ですべて見ることができます。さらに月と太陽(安全に注意)も見れば、一日のうちに曜日(日、月、…土)の星めぐりをすることになります。意欲のある方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

今月の星座

きりん座、やまねこ座

3月中旬の夜9時ごろ、北の空を見上げると、正面に北極星、右手側(北東の空)に北斗七星、左手側(北西の空)に「ぎょしゃ座」のカペラが見つかります。また、頭の真上あたりには「ふたご座」のカストル、ポルックスも見つかります。こうした目立つ星々の間にひっそりと隠れているのが、「きりん座」と「やまねこ座」です。どちらも17世紀に作られた新しい星座です。

「きりん座」「やまねこ座」(銀河の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

位置の見当をつけるのは難しくありません。「きりん座」はカペラと北極星の間あたり、「やまねこ座」はカストル、ポルックスと北極星の間あたりに広がっています。ただし、星座の領域に含まれる星が暗いため、見つけるのはとても大変です。「やまねこ座」で一番明るい星は3等級、「きりん座」のほうは4等級しかないため、街明かりや月明かりがあると肉眼では見つけられないかもしれません。

双眼鏡を使うと、星座の星を見つけたりつないだりできるようになります。たとえ星が見えないとしても、「何もないように見える空の一角に、キリンやネコが隠れている」と想像してみるだけでも楽しいものです。

銀河IC 342

これら2つの星座には、天体望遠鏡向きの天体(二重星や見やすい星雲、星団)もあまりありません。その少ない中で「きりん座」のIC 342という銀河は天体写真の愛好家に人気の天体です(ICは「インデックス・カタログ」の略)。星座と同様にこの銀河も暗く見つけにくいのですが、うまく撮影すると見事な渦巻き模様をとらえることができます。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は3月中旬の深夜1時ごろの星空です。4月中旬の深夜11時ごろ、5月中旬の夜9時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます)。

2018年3月中旬 深夜1時ごろの星空

北の空の高いところに「北斗七星」が昇っています。その星々をつないでカーブに沿って南へと線を伸ばしていくと、オレンジ色の明るい星「うしかい座」のアルクトゥールス、青白い明るい星「おとめ座」のスピカが見つかります。頭上に架かる雄大な「春の大曲線」をたどってみましょう。「しし座」のデネボラも見つけられれば、真南の空に広がる「春の大三角」もわかります。

南東の空には、ひときわ明るく眩しく輝く木星が見えます。また、もう1~2時間ほどすると火星や土星も昇ってきます。どの惑星も宵の時間帯に見やすくなるのはもう少し先の時季ですが、今から楽しみですね。「今月の星さがし」でご紹介したように、明け方の火星の動きにも注目してみてください。

木星より低いところには「さそり座」のアンタレス、また北東の空には「こと座」のベガなど、夏に見やすい星々も見え始めていますが、深夜の風はまだ冷たいかもしれません。星の美しさに見とれすぎて風邪をひかないようにご注意ください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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