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Japan

2018年2月の星空

宵空には冬の明るい星々が勢ぞろい。戌年にふさわしく、おおいぬ座とこいぬ座が南の空で見ごろです。
一方、未明から明け方の空には火星・木星・土星がそろい踏みしています。とくに火星の動きやアンタレスとの色比べに注目してみましょう。

星空写真

能登軍艦島にて
能登の軍艦島(見附島)から冬の星座たちを撮影した。冬の大三角の中に、いっかくじゅう座が見える。明るい星のない目立たない星座だが、大三角を見たときに思い出してほしい。

2015年9月22日 3時6分
ニコン D800E+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(19mm、ISO 2000、露出90秒)
撮影者:鈴木 祐二郎

2月の星空

南の空

南の空

2018年2月1日ごろの22時、15日ごろの21時、28日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(23日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2018年2月1日ごろの22時、15日ごろの21時、28日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(木) 宵~翌2日明け方、月とレグルスが大接近(近畿~中部より東では、2日5時ごろにレグルスが月に隠されます)
4日(日) 立春(こよみの上で春の始まり)
6日(火) 未明~明け方、月とスピカが並ぶ
8日(木) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
未明~明け方、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
9日(金) 未明~明け方、月と火星が並ぶ
12日(月) このころ、未明~明け方に火星とアンタレスが並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
未明~明け方、細い月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
16日(金) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)(南極などで部分日食)
23日(金) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
夕方~深夜、月とアルデバランが接近

2月の惑星

水星

太陽に近く、見えません。次は3月上旬ごろから夕方の西の低空に見えるようになります。

金星

下旬ごろから夕方の西の低空に見えるようになります。日の入り30分後(東京で夕方6時ごろ)の高度は5度ほどとかなり低空ですが、とても明るいので、見晴らしが良いところであれば肉眼でも簡単に見つけられるでしょう。

火星

「さそり座」から「へびつかい座」へと動いていきます。未明から明け方、南東から南の空に見えます。明るさは月初には1.2等級ですが月末には0.8等級まで明るくなります。

日の出1時間前(東京で朝5時30分ごろ)の高度は30度ほどで、やや低めではありますがよく見えます。今年の夏から秋には地球と大接近してさらに明るく赤く見えるようになるので、長期にわたって変化を追ってみましょう。とくに今月は「さそり座」の赤い1等星アンタレスの近くを通り過ぎていくので、アンタレスを基準にして火星の色・明るさ・動きを観察すると面白いでしょう。

9日に下弦過ぎの月と並びます。月・火星・アンタレスの3天体集合を眺めてみてください。また、明け方の空には火星のほかに木星と土星も見えています。惑星同士の色や明るさも比べてみましょう。

木星

「てんびん座」にあります。日付が変わるころに昇ってきて、3時ごろに南東の空、5時ごろに南の空に見えます。明るさは約マイナス2等級です。

未明から明け方に南東の空で、黄色っぽい色でとても明るく輝いているので、簡単に見つかります。双眼鏡では木星の周囲を回る4個のガリレオ衛星のうちいくつかが見え、天体望遠鏡で観察すると衛星のほかに本体の縞模様も見えるでしょう。

8日に下弦の半月と接近します。肉眼や双眼鏡で共演を楽しみましょう。また、明け方の空には木星のほかに火星と土星も見えています。惑星同士の色や明るさも比べてみましょう。

土星

「いて座」にあり、明け方の南東の低空に見えます。明るさは約0.4等級です。

日の出1時間前の高度は20度ほどと低く、天体望遠鏡での観察にはあまり向いていません。12日に細い月と接近する光景は肉眼や双眼鏡での観察、星空写真撮影の好対象となるので、早起きして眺めてみましょう。また、明け方の空には土星のほかに火星と木星も見えています。惑星同士の色や明るさも比べてみましょう。

今月の星さがし

未明から明け方の南東の空に火星・木星・土星と3つの明るい惑星が揃って見えています。とくに火星は1か月の間に位置を大きく変え、明るさも増していきます。

1月31日の宵~深夜、皆既月食

1月31日の21時前から2月1日の0時過ぎにかけて、全国で皆既月食が起こります。月全体が地球の影に入ってしまう「皆既食」の状態になるのは21時51分ごろから23時8分ごろまでです。詳しくは「1月号の星空案内」をご覧ください。

1月31日20時30分から2月1日0時30分までの南東を中心とした空の様子(場所は東京)

明け方に火星・木星・土星、10日前後には月も並ぶ

一年のうちで最も寒さが厳しい時期ですが、未明から明け方の空には早くも「てんびん座」や「さそり座」といった初夏に見やすい星座たちが東の空から昇ってきています。この星座たちの近くに、火星・木星・土星が見えています。

日の出1時間前(東京で朝5時30分ごろ)に南から南東の空を眺めると、右上から左下に向かって斜めに明るい星が4つ並んでいるのが見つかります。右上(南寄り)にある最も明るい星が木星、左下(南東寄り)にある2番目に明るい星が土星で、その間に位置する2つの赤い星のうちの1つが火星です。そして、火星と並んでいるもう1つの赤い星は、「さそり座」の1等星アンタレスです。

2月2日から22日まで、2日おきに見た明け方の南南東の空の様子(場所は東京)。全体図で線は10度間隔、月は大きめに描画している。8日と12日の囲み内は双眼鏡で見たイメージ(直径5度)

惑星は星々の間を動いていくので星座を形作る星に対して位置が変化しますが、とくに火星の位置は1か月の間にも大きく変化します。同じ赤い星であるアンタレスを基準としてその変化を追ってみると、動きがよくわかるでしょう。アンタレスと最も近づくのは12日ごろです。また、動きが遅い木星と土星に対しても火星はどんどん動いていくので、月初めのころには木星寄りにあった火星が20日ごろには木星と土星の中間あたりに位置するようになります。

さらに、火星は今年7月31日に地球と最接近しますが(これは見かけではなく、宇宙空間における実際の距離の最接近です)、その最接近に向けて地球との距離が縮まりつつあるので、少しずつ明るく見えるようにもなっています。2月の間に劇的に変化するわけではないものの、月初めはアンタレスと同じくらいの明るさだった火星が月末にはアンタレスよりやや明るく見えることに気が付けるかもしれません。写真で記録すると、位置や明るさの変化がわかりやすいでしょう。今年は火星が見ごろの年なので長期にわたって注目したいところですが、そのスタートとしてぜひ今月から観察してみてはいかがでしょうか。

なお、10日前後には下弦の半月から細くなっていく月が、この3惑星+アンタレスの並びの中を通り過ぎていきます。肉眼でもよく見えますが、双眼鏡で眺めると月の模様や惑星の色がいっそうよくわかります。早起きして、寒さ対策を万全にして観察してみましょう。

今月の星座

おおいぬ座、こいぬ座、いっかくじゅう座

2月中旬の夜9時ごろ、南の空に1等星3つで形作られる「冬の大三角」が見えます。3つの星のうち一番下(南)にあるのが「おおいぬ座」のシリウス、左(東)にあるのが「こいぬ座」のプロキオンで、戌年の今冬、ちょうど見やすい時間帯に見やすい位置にあります。

「おおいぬ座」「こいぬ座」「いっかくじゅう座」(星雲の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

「おおいぬ座」はシリウスを犬の顔(鼻や口)として周囲の星々をつなぐと、胴や前足、後ろ足がイメージでき、何となく犬の姿に見えてきます。一方の「こいぬ座」は、主な星はプロキオンのほかには3等星のゴメイサしかなく、この2つの星を犬の姿と見るにはかなりの想像力と思い切りが必要になります。「犬の姿に見えたから『こいぬ座』にした」というよりは、「『おおいぬ座』やシリウスと、ペアになるように星座を作った」と考えるほうが自然でしょう。

そしてもう一つ、ちょうど大三角の中に位置するのが「いっかくじゅう座」です。漢字では「一角獣」と書きますが、英語の「ユニコーン」のほうがわかりやすいかもしれません。額に角の生えた馬という想像上の生物です。この「いっかくじゅう座」は最も明るい星が4等級なので、街中で見つけることは困難です。冬の大三角の中に隠れているところを想像しながら、「おおいぬ座」「こいぬ座」と共に眺めてみてください。

シリウスとプロキオン

シリウスの明るさはマイナス1.4等級で、夜空に見える恒星の中では一番明るい天体です。星そのものが高温で強いエネルギーを放射していることに加えて、太陽系から8.6光年と近距離(太陽系から5番目に近い恒星系)にあるため、このように明るく見えるのです。

シリウスは、古代エジプトでは「ナイル川の氾濫時期」を知らせるという重要な意味をもった星でした。明け方、東の空にシリウスが見えるようになるタイミングと、ナイル川が氾濫し始めるシーズンが近かったのです。そして、シリウスよりも先にプロキオンが昇ってくることから、プロキオンも同様に(シリウスを予兆させる星として)重要な星でした。プロキオンという名前は「犬の先駆け」という意味の言葉に由来します。

ただし、プロキオンがシリウスよりも先に昇ってくる条件は時代や場所(緯度)によって異なります。現在の日本の場合、東京ではプロキオンのほうが10分ほど早く昇ってきますが、沖縄では反対にシリウスのほうが10分ほど早くなります。

なお、シリウスとプロキオンは日本ではそれぞれ「青星」「白星、色白」などと呼ばれていました。やはりペアの星として見られていたのでしょう。

散開星団M41

シリウスの下(南)にM41(メシエ41)という番号が付けられた星団(星の集団)があります。位置がわかりやすく見つけやすいので、ぜひ観察してみましょう。空の条件が良ければ肉眼でも存在がわかり、双眼鏡や天体望遠鏡を使うと星の色や並び方まで見えて楽しめます。

三重星いっかくじゅう座β、ばら星雲

星座としては目立たない「いっかくじゅう座」ですが、天体望遠鏡での見ものや天体写真の好対象がいくつかあります。

まず天体望遠鏡では、ユニコーンの前足あたりに位置する星「いっかくじゅう座β(ベータ)」が見ものです。肉眼では1つの星ですが、天体望遠鏡では明るさも白っぽい色もよく似ている3つの星が集まった美しい三重星であることがわかります。

また、ユニコーンの鼻先あたりには「ばら星雲」の愛称で知られる美しい星雲(ガスや塵が光っている天体)があります。淡いため天体望遠鏡でもほとんど見えませんが、写真では愛称のとおり大輪のばらの花のような星雲の姿をとらえることができます。図鑑やインターネットの画像検索などで、宇宙のばらを鑑賞してみてください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は2月中旬の深夜1時ごろの星空です。3月中旬の23時ごろ、4月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります/惑星は少し動きます)。

2018年2月中旬 深夜1時ごろの星空

冬の大三角が西の空に傾きました。「オリオン座」は西の地平線に沈みかけ、「おおいぬ座」は南西の大地にしっかりと足を下ろしているように見えます。

2匹の犬が西の空に移るころ、南の空の高いところには「しし座」が見えています、その尻尾から南東の空に、「春の大三角」が大きく広がっています。「うしかい座」のアルクトゥールスと「おとめ座」のスピカは明るく目立ちますが、今シーズンは南東の地平線近くに見える木星が、さらにキラキラと輝いて見えます。西の空に残る冬の1等星たちに負けないほど、東の空の星々もカラフルで明るいですね。また、北の空の高いところに「北斗七星」も昇っています。

少しずつ春が近づいてきています。星空を見上げて季節の移り変わりを感じ、春を待ってみてはいかがでしょうか。深夜はとても冷えますので、寒さ対策は念入りに。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

星空観察のワンポイントアドバイス