12月14日ごろ「ふたご座流星群」の流れ星が見えそうです。暖かい服装で夜空を見上げてみましょう。同じころ、明け方の南東の空では細い月と火星、木星、スピカが並び美しい光景が見られます。
「冬の大三角」や「オリオン座」など、冬は明るく見つけやすい星や星座がたくさんあります。日が暮れるのが早いこの時期、星を目にする機会が増えるかもしれませんね。
星空写真
赤城山小沼にて
赤城山地蔵岳無線中継所とプレアデス星団のコラボ画像を露出する1秒間に流星が飛び込んでくれた奇跡の1枚です。無線中継所が明るいのは前橋、高崎の光害によるものです。
2016年11月27日 5時5分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED(ISO 12800、露出1秒、f/開放)
撮影者:高岡 誠一
2017年12月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(4日)、上弦(27日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。
2017年12月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
3日(日) | 宵~翌4日明け方、月とアルデバランが大接近(北海道北部ではアルデバランが月に隠されます) |
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4日(月)![]() |
満月(今年最大の満月)。次の満月は来年1月2日です |
8日(金) | 深夜~翌9日明け方、月とレグルスが大接近(9日の日の出後に、レグルスが月に隠されます) |
10日(日)![]() |
下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
13日(水) | 未明~明け方、月とスピカが並ぶ |
14日(木) | 未明~明け方、細い月と火星が接近(「今月の星さがし」で解説) ふたご座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説) |
15日(金) | 未明~明け方、細い月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説) |
18日(月)![]() |
新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
22日(金) | 冬至(北半球では、一年のうちで一番夜が長い日) |
26日(火)![]() |
上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む) |
31日(日) | 未明、月とアルデバランが接近 |
月初めの3日ごろまで、夕方の南西の低空に見えています。日没30分後(東京で夕方5時ごろ)の高度は6度ほどとかなり低いので、南西の空の見晴らしが良いところで探してみましょう。肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。近くには土星も並んでいます。
その後は太陽に近づき見えなくなりますが、下旬の23日ごろからは明け方の南東の低空に見えるようになります。日の出30分前(東京で朝6時20分ごろ)の高度は10度前後で、水星としてはかなり高くなります。ただし、水星としては高いとはいえ10度はやはり相当低いので、南東方向がよく開けたところで観察しましょう。目印になるような天体がないので、星図アプリなどで位置をよく確かめて探してみてください。
太陽に近く、見えません。次は来年2月下旬ごろから夕方の西の低空に見えるようになります。
未明から明け方の南東の空に見えます。明るさは約1.5等級です。
日の出1時間前(東京で朝5時40分ごろ)の高度は30度ほどで、やや低めではありますがよく見えます。来年の夏から秋には地球と大接近してさらに明るく赤く見えるようになるので、長期にわたって変化を追ってみましょう。
明け方の南東の空には火星のほか、木星や「おとめ座」の1等星スピカが見えています。3つの明るい星の、色や明るさの違いを楽しみましょう。また、火星は上旬はスピカに近く、下旬は木星に近くなります。並び方(間隔)の変化にも注目してみてください。
14日の未明から明け方に、月齢25の細い月と接近します。早起きして肉眼や双眼鏡で眺めたり、写真に撮ったりしてみましょう。
未明から明け方の南東の空に見えます。明るさは約マイナス2等級です。
日の出1時間前(東京で朝5時40分ごろ)の高度は20度ほどで、やや低めではありますがよく見えます。火星よりは低いものの圧倒的に明るいので、木星のほうが目立って見えるでしょう。高くないので天体望遠鏡での観察にはあまり適していませんが、向けてみるとガリレオ衛星や縞模様が見えます。
明け方の南東の空には木星と火星のほか、「おとめ座」の1等星スピカも見えています。3つの明るい星の、色や明るさの違いを楽しみましょう。
15日の未明から明け方に、月齢26の細い月と接近します。早起きして肉眼や双眼鏡で眺めたり、写真に撮ったりしてみましょう。また、下旬ごろから火星と接近して見えるようになり、来年1月7日に大接近します。並び方の変化を追ってみると面白いでしょう。
月初めの3日ごろまで、夕方の南西の低空に見えています。日没30分後(東京で夕方5時ごろ)の高度は6度ほどとかなり低いので、南西の空の見晴らしが良いところで探してみましょう。双眼鏡を使うと見つけやすくなります。近くには水星も並んでいます。低いため、天体望遠鏡での観察にはまったく適していません。
その後は太陽に近づくので見えません。次は来年1月中旬ごろから明け方の南東の低空に見えるようになります。
冬の定番天文現象、ふたご座流星群。14日前後に多くの流れ星が見られそうです。その14日ごろ、明け方の南東の空に細い月と火星、木星、スピカが並びます。流れ星と共に、ぜひ見ておきたい美しい眺めです。
毎年12月中旬ごろに活動がピークとなるふたご座流星群は、寒いことを別とすれば一年でもっとも見やすい流星群です。
といったことが理由です。条件が良ければ一晩で100個以上の流れ星が見えることもありえます。
今年ふたご座流星群の活動が最も活発になるのは14日の午後3時ごろと予想されています。これは日中なので、実際に見ることができる時間帯としては前後の夜、つまり13日の宵から14日の明け方にかけてと、14日の宵から15日の明け方にかけて、流れ星の数が一番多くなるでしょう。
普段の星空観察と同様に、流れ星の観察でも街明かりや月明かりが影響します。このうち月明かりについては、14日も15日も3時から4時ごろにならないと月が昇らず、しかも細い月なので、影響は小さいでしょう。したがって、街明かりが少なく見晴らしが良いところでは、1時間あたり30~50個の流れ星が見えると期待されます。街明かりがあったり建物で視界の一部が遮られたりしているようなところでも、1時間あたり10~15個程度は流れ星が見えるでしょう。
流れ星観察の一番のポイントは、空を広く見渡すことです。流れ星は「ふたご座の方向だけ」に飛ぶのではなく「ふたご座(放射点)を中心にあちこち」に飛ぶので、狭い範囲を集中して見るのではなく広い範囲をゆったりと眺めましょう。広く見ることが大切ですから、双眼鏡や天体望遠鏡は不要です。
観察を始めてすぐに流れ星が飛ぶとは限らないので、安全やマナーに気をつけながら、そして何よりも防寒の準備を万全にして、少なくとも15分くらいは流れ星を待ってみましょう。とても寒いので、くれぐれも無理はしないようにお気をつけください。なお、数は減るもののピークの前後の期間にも流星群は活動しているので、天候やスケジュールの関係で14日ごろに見られない方は別の日に望みをかけましょう。
ふたご座流星群の活動がピークとなる14日前後は、明け方の南東の空にも美しい光景が見られます。早朝4時から6時ごろに、細い月と火星、木星、「おとめ座」の1等星スピカが並ぶという現象です。
4天体が集まっている光景は肉眼でもよく見えます。火星、木星、スピカの色や明るさの違い、日々位置を変え細くなっていく月の様子、夜明けにつれて刻一刻と変化する空の色などを楽しみましょう。とても運が良ければ、ふたご座流星群の流れ星も近くに飛ぶかもしれません。
また、双眼鏡では月と惑星の世界を切り取るイメージで空を眺めることができます。月は14日に火星の左、15日に木星の左に並びます(図にはありませんが13日はスピカの左上です)。月の暗いほうがほのかに光って見える地球照も、双眼鏡を使うとわかりやすくなるでしょう。
写真撮影にも良いチャンスです。広い画角で街の風景と一緒に撮影したり、ズームで月と惑星だけをとらえたりしてみてください。
14日と15日の明け方は、ふたご座流星群だけでなくこちらも忘れずに観察しましょう。しばらく寒さを忘れて見入ってしまうほどの美しい現象ですが、防寒は念入りに。
全天88星座のうち4番目に大きい「くじら座」は、12月中旬の夜8時から9時ごろ南の空に見えます。明るい星は少ないですが、星座の西(右)の端にある2等星ディフダ(デネブカイトス)と、東(左)の端の3等星メンカルが見つけられれば、その間に広がっていると見当をつけることができます。どちらもオレンジから赤っぽい色をしているので、色も頼りにして探してみましょう。
ディフダはくじらの尻尾、メンカルは鼻先にあたります。ディフダからメンカルまで、夜空で実際の星の広がりを見てみると、いかにも「くじら」らしい大きさを実感することができますが、星座絵を見ると、いわゆる「くじら」とは似ても似つかない生き物が描かれています。神話では海を荒らした怪物とされ、王女アンドロメダを襲おうとしたところ、偶然通りかかった勇者ペルセウスに退治されてしまいました。「海の怪物座」「海獣(かいじゅう)座」ではわかりにくいので「くじら座」になったのかもしれません。
くじらの胸のあたりには、とても有名な変光星があります。「不思議なもの」という意味の言葉に由来する名前の「ミラ」がその星で、およそ330日周期で明るさが変わります。
ミラが変光する理由は、星全体が膨張と収縮を繰り返すためで、こうしたタイプの星を「脈動変光星」と呼びます。ミラは赤い色をしているので、ちょうどくじらの心臓が脈動しているようなイメージです。
明るいときには2等級で輝き肉眼でも簡単に見つけられますが、暗いときには10等級になり天体望遠鏡がなければ見つけられません。ちょうどこの冬は明るく見えるタイミングで、来年1月ごろに最も明るくなると予想されているので、12月中はだんだん増光していく様子が見られそうです。ディフダ、ミラ、メンカルと、明るさが近い赤っぽい星が3つ並ぶところを、ぜひ眺めてみましょう。
くじらの口元あたりには、M77(エム77、メシエ77)という番号が付けられた銀河があります。空の暗いところで天体望遠鏡を使わなければ見えない、かなりマイナーな天体ですが、その正体は私たちのいる天の川銀河よりもはるかに大きく重い、巨大な銀河です。中心には太陽1000万個分もの巨大な質量を持つブラックホールが存在していると考えられているほか、過去に小さい銀河を飲み込んだ証拠と思われる構造が周囲に見つかっているなど、熱心に観測研究されている銀河です。
夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。
図は12月中旬の深夜1時ごろの星空です。来年1月中旬の23時ごろ、2月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります/惑星は少し動きます)。
真南の空に「冬の大三角」が見えています。明るいだけでなく形が整っていることや3つの星の色がそれぞれ違うことなど、見ごたえ満点です。冬の大三角を中心に他の1等星も見つけ、そこからさまざまな星座をたどってみましょう。深夜になっても街が明るい時期ですが、地上のイルミネーションだけでなく夜空の美しい輝きにも注目です。
関東地方より南の地域では、南の地平線近くに「りゅうこつ座」の1等星「カノープス」も見えるかもしれません。一目見ると寿命が延びると言われる縁起の良い星です。天候や観察場所の条件に恵まれた日にはぜひ探してみてください。
この空の様子は、ちょうど新年を迎えるころ、つまり2018年1月1日の0時とほぼ同じです。除夜の鐘を聞きながら夜空を見上げれば、こんな星々が見えるというわけです。2018年も美しい星空や素敵な天文現象に出会えるよう願いながら、よい新年をお迎えください。
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