Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

2017年10月の星空

秋の夜空には明るい星が少ないのですが、それだけに月の明るさに注目することが多くなります。冷たくなってきた空気も、月光の美しさを際立たせてくれることでしょう。地球から最も近くにある天体を、いつも以上に意識しながら眺めてみてはいかがでしょうか。
そして月明かりがない夜には、控えめな秋の星々も、じっくり探してみてください。

星空写真

北軽井沢にて
秋になると星空の透明度がアップするので、黄道光や冬の銀河のような淡い対象が見やすくなります。画像左の金星、木星、火星のランデブーが、ほどよいアクセントとなりました。

2015年10月12日 4時33分
ニコン D810A+AF DX Fisheye-Nikkor 10.5mm f/2.8G ED(ISO 12800、露出20秒×3枚を合成、f/4)
撮影者:高岡 誠一

10月の星空

南の空

南の空

2017年10月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(6日)、上弦(28日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2017年10月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

4日(水) 中秋の名月(「今月の星さがし」で解説)
6日(金) 満月。次の満月は11月4日です
このころ、明け方に金星と火星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
9日(月) 深夜~翌10日明け方、月とアルデバランが大接近(北日本方面では10日3~4時ごろにアルデバランが月に隠される)
12日(木) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
16日(月) 未明~明け方、細い月とレグルスが接近
18日(水) 未明~明け方、細い月と金星が接近、火星も並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
20日(金) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
21日(土) オリオン座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
24日(火) 夕方~宵、月と土星が接近
28日(土) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)

10月の惑星

水星

太陽に近いため、見えません。次は11月中旬ごろから、夕方の南西の低空に見えるようになります。

金星

明け方の東の空に見えます。日の出1時間前(東京で朝4時45分ごろ)の高度は8度ほどとかなり低いのですが、マイナス4等級と明るく目立つので、建物などに隠されなければ見つけられるでしょう。東の空が低空まで開けているところで探してみてください。

中旬ごろまで火星と接近しています。最接近は6日で、6日以前は金星のほうが高く、以降は火星のほうが高くなります。双眼鏡で色や明るさの違いを眺めてみましょう。また、18日には月齢28のごく細い月も並び、3天体の共演が楽しめます。早起きして眺めてみてください。

火星

明け方の東の空に見えます。明るさは約2等級です。

日の出1時間前(東京で朝4時45分ごろ)の高度は13度ほどとかなり低く、夜明け空で見るには2等級というのは暗いこともあり、肉眼では見つけるのが困難です。中旬ごろまでは金星と接近しているので、金星を目印にして双眼鏡で探してみましょう。また、18日には月齢28のごく細い月も並び、3天体の共演が楽しめます。早起きして眺めてみてください。

木星

太陽に近いため、見えません。次は11月中旬ごろから、明け方の東南東の低空で金星と大接近して見えるようになります。

土星

「へびつかい座」にあります。日没1時間後(東京で夕方6時ごろ)に南西の低空に見え、夜8時半ごろに沈みます。明るさは約0.4等級です。

地球から見て土星の環が最も幅広く見える時期ですが、低いために観察はやや難しいかもしれません。天体望遠鏡で見る場合には、空が暗くなってきたら早めに観察しましょう。

24日の夕方から宵に細めの月と接近します。こちらは肉眼や双眼鏡で眺めて楽しみましょう。

今月の星さがし

4日は中秋の名月。秋の夜空を美しく照らす丸い月を眺めましょう。そこから細くなっていく月は18日の明け方に、金星と並びます。その共演だけでなく、日ごと形を変えていく月の様子も楽しみです。

4日 中秋の名月

7月の七夕や8月の伝統的七夕、ペルセウス座流星群が夏の風物詩とすれば、「中秋の名月(十五夜の月)」は秋の風物詩と言えるでしょう。澄んだ秋の夜空に昇った丸い月は、たいへん美しいものです。街中からでも月はよく見えるので、気軽にお月見を楽しみましょう。

「中秋」とは、秋のちょうど真ん中を指す言葉です。日本でかつて使われていた暦(いわゆる旧暦)では7~9月が秋なので、旧暦の8月15日が中秋ということになります。現行の暦(新暦)では毎年異なる日付になり、今年は10月4日と遅めです。そしてこの夜の月が「中秋の名月(十五夜の月)」と呼ばれています。

※旧暦は現在公的には使われていないため、中秋の名月の日は「太陽太陰暦と同じような方法で求めた8月15日に近い日」として、太陽の位置や月の満ち欠けをもとにして決められます。

ところで十五夜の月は必ず満月というわけではなく、その翌日または翌々日が満月になることがよく起こります。言い換えると、満月の前日もしくは前々日が十五夜になることがよくある、ということです。今年の満月は10月6日で、4日の名月はその2日前なので少しだけ欠けています。双眼鏡や天体望遠鏡で拡大するとわかりやすいでしょう。

10月4日深夜、真南の空高く上った中秋の名月。赤い字は主な地形の名前。左端の薄いグレーのエリアと線は、欠けている(実際には見えない)部分を表す

4日の名月や6日の満月といった丸く大きな月だけでなく、半月や細い月も興味深い観察対象です。肉眼で形の変化を追うだけでも面白いものですが、天体望遠鏡で拡大すると欠け際部分のクレーターが立体的に見えるので、いっそう楽しさが増すでしょう。

さらに、満ち欠けだけでなく、月の縁に近い部分の見え方が変わったり見かけの大きさが変化したりすることも意識してみてください。縁付近の見え方が変わるのは月が地球に向けている面が微妙に変わるため、大きさが変わるのは月と地球との距離が変わるからです。こうした微妙な差は撮影して記録しておくと見比べやすいでしょう。

10月の月の見え方(日本時間0時の形)。満ち欠けだけでなく、縁に近い模様の見え方や、見かけの大きさが変わることがわかる

普段、星空を見るにはまぶしすぎるため月明かりはないほうが嬉しいのですが、反対にその明るさから、月はどんな場所からでも手軽に楽しむことができる天体です。海と呼ばれる暗い部分や数々のクレーターは、双眼鏡や小型の天体望遠鏡でもよく見えます。秋の夜長、じっくりと月を観察してみてはいかがでしょうか。

6日ごろに東の低空で金星と火星が大接近、18日には細い月も

月に次いで夜空で2番目に明るく見える天体は金星ですが、その金星は現在「明けの明星」として、夜明け前の東の空に見えています。だんだん太陽に近づいているため高度が低くなり少し見つけにくいのですが、低空まで見晴らしが良いところで探せばすぐに見つかるでしょう。

今月中旬ごろまで、この金星の近くに火星も見えています。火星は現在地球から遠く離れているためあまり明るくないので、夜明け空の中で肉眼で見つけるのはやや難しいかもしれません。金星を目印に、まず双眼鏡を使って探してみましょう。15日ごろまでは双眼鏡の同一視野内に見えます。

うまく見つけられたら、肉眼でも見えるかどうか確かめてみてください。金星と火星が一番接近して見えるのは6日で、天体望遠鏡で一緒に見えるほどの大接近となります。それ以降は火星のほうが金星よりも高くなるので、少し見つけやすくなるでしょう。

10月6日明け方の、東の空の様子(場所は東京)。囲み内はクローズアップ(直径1度=満月2個分、50倍程度の天体望遠鏡で見える範囲)。線は10度(腕を伸ばしてこぶし約1個分)間隔

10月18日明け方の、東の空の様子(場所は東京)。囲み内は月と金星のクローズアップ(直径7度、標準的な双眼鏡の視野)

月の半ばを過ぎると金星と火星はやや離れますが、18日にはこの2惑星の近くに細い月が並ぶ光景が見られます。新月2日前のとても細い月なので、一目見ただけではわからないかもしれません。金星のほうが目につくので、まず金星を見つけてから月、火星と探してみましょう。朝の風景と一緒に写真に収めるのもお勧めです。

21~22日ごろ、オリオン座流星群

10月下旬になると深夜には「オリオン座」が東の地平線から昇ってきます。その「オリオン座」の方向を中心として飛ぶ流れ星が見られるのが「オリオン座流星群」で、毎年10月21日ごろに活動がピークとなります。8月中旬のペルセウス座流星群や12月中旬のふたご座流星群ほど多くの流れ星が見られるわけではありませんが、比較的見やすい流星群です。

今年の活動のピークは21日夜8時ごろと予想されています。この時間帯にはまだオリオン座が昇ってきていないので、それより後の深夜から22日明け方にかけてが一番の見ごろとなるでしょう。土曜深夜から日曜明け方なので夜更かししやすいかもしれません。

10月22日2時ごろの東京の空。流れ星は、放射点の位置する南東の空だけではなく、放射点を中心とした空全体に飛ぶように見える

この日は新月直後のタイミングなので、月明かりの影響がまったくない好条件で観察できます。空の条件の良いところで1時間あたり15個前後、郊外などではその半分ほどの流れ星が見えるでしょう。流れ星はオリオン座の方向にある「放射点」と呼ばれる天球上の一点を中心としてあちらこちらに飛ぶので、狭い範囲を集中して見るのではなく、なるべく広く空を見渡すようにしましょう。

深夜から明け方には冬の星座たちが東の空に勢ぞろいしています。これらの星々や秋の星座を眺めながら、流れ星を待ってみてはいかがでしょうか。かなり冷え込みますので、防寒の備えは念入りに。

今月の星座

みなみのうお座、つる座

10月中旬の夜9時ごろ、「秋の四辺形」がほぼ頭の真上あたりに見えています。四辺形の西側の辺(南を正面としたときに右手側の辺)を南の地平線に向けて伸ばしていくと、南の空の低いところに1つ、他よりも明るく輝く1等星が見つかります(ページ上部「10月の星空」参照)。これが「みなみのうお座」のフォーマルハウトです。日本には「秋のひとつぼし」「南のひとつぼし」という呼び方もあります。

「みなみのうお座」「つる座」

フォーマルハウトは魚の口に位置しており、そこから右(西)のほうに体が広がっています。フォーマルハウト以外の星は3等星以下の暗いものばかりなので、魚の姿をイメージするのは少し難しいかもしれません。星座絵を見ると上下がひっくり返っていますが、一説によればこれは「みなみのうお座」の上(北)にある「みずがめ座」から注がれたお酒を飲んで酔っているためだということです。

さて、このフォーマルハウトが真南の空に見えるころ、そこからさらに低いところに「つる座」が姿を現しています。アルナイルとその左にある星は2等星で、空の条件が良ければ簡単に見つけられるのですが、低空は街明かりの影響を受けたり空気の透明度が悪かったりするため、意外と見えにくくなってしまいます。双眼鏡を使うなどしてこの2つの星を見つけ、そこから「つる座」をイメージしてみてください。良い空に恵まれれば、長く伸びた鶴の首の星々まで見えるでしょう。

フォーマルハウト

フォーマルハウトには、その周りを巡っている惑星が見つかっています。2015年に行われた公募と投票により、この惑星には海神に由来する「ダゴン」という名前が付けられました。

惑星ダゴンに生命や文明が存在するかどうかはまったくわかっていませんが、フォーマルハウトまでは25光年と(宇宙のスケールでは)近いので、3000個以上も見つかっている太陽系外の惑星のなかでは調べやすい天体といえるかもしれません。

もし惑星ダゴンに文明が存在していたら、きっと向こうからも太陽系を観測しようとしていることでしょう。フォーマルハウトを眺めるときには、ぜひそんな想像もしてみてください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は10月中旬の深夜1時ごろの星空です。11月中旬の23時ごろ、12月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります/惑星は少し動きます)。

2017年10月中旬 深夜1時ごろの星空

「今月の星座」でご紹介した「みなみのうお座」の1等星フォーマルハウトが南西の低空に移ってしまうため、空の西半分(星図の右半分)はかなり寂しい印象になります。月明かりがある夜には、西半分にはほとんど星が見えないかもしれません。

対照的に東の空には明るく色鮮やかな冬の星々たちが昇ってきていて、たいへん賑やかに感じられます。南東の空に輝く「おおいぬ座」の1等星シリウスは、本来は白っぽい色の星ですが、低空にあるときには大気の影響のために激しく瞬き、色が絶え間なく変化しているように見えるでしょう。

頭の真上あたり(星図でアルデバランの「バ」の字あたり)にはプレアデス星団(すばる)が見えます。肉眼でも数個の星が集まったようすがわかりますが、双眼鏡で観察すると時が経つのを忘れるほど美しい眺めを堪能できます。

深夜ともなれば気温もかなり下がります。空気の冷たさからも東の空の星々からも、一足早く冬を感じられそうです。深夜の星空散歩は真冬の格好で、暖かくしてお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

星空観察のワンポイントアドバイス