Nikon Imaging
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At the heart of the image.

2017年8月の星空

月食に流星群、日本では見られないものの皆既日食と、今月は天文現象が目白押しです。平日の未明から明け方に起こるものもあるので、しっかりとスケジュール調整をしておきましょう。
宵空では土星が見ごろです。南の空の高いところには「夏の大三角」が昇り、空が暗いところではこの大三角から土星のあたりにかけて天の川が見えるでしょう。旅行先や帰省先でも、星空を見上げてみてください。

星空写真

渋峠(長野県側)にて
渋峠から雲海に立ち昇る天の川を狙ったところに、偶然にペルセウス座流星群の流星をとらえることができました。さらに万座温泉街の灯りが雲海を照らし、神秘性が増幅しました。

2015年8月8日 22時35分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED(ISO 12800、露出10秒、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一

8月の星空

南の空

南の空

2017年8月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(8日)、上弦(29日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2017年8月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

3日(木) 夕方~翌4日未明、月と土星が接近
7日(月) 立秋(こよみの上で秋の始まり)
8日(火) 満月。次の満月は9月6日です
未明~明け方、部分月食(「今月の星さがし」で解説)
13日(日) ペルセウス座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
15日(火) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
16日(水) 未明~明け方、細い月とアルデバランが並ぶ
19日(土) 未明~明け方、細い月と金星が接近
22日(火) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
北アメリカ方面で皆既日食(日本時間では未明~明け方。「今月の星さがし」で解説)
25日(金) 夕方~宵、細い月と木星が接近
28日(月) 伝統的七夕(「今月の星さがし」で解説)
29日(火) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
30日(水) 夕方~深夜、月と土星が接近

8月の惑星

水星

太陽に近いため、見えません。次は9月中旬ごろから、明け方の東の低空に見えるようになります。

金星

明け方の東の空に見えます。日の出1時間前(東京で朝4時ごろ)の高度は20度ほどとやや低いですが、マイナス4等級と明るく目立つので、建物などに隠されなければ見つけられるでしょう。明け方の東の空には冬の星座が昇ってきており明るい星も多いのですが、その中にあっても金星の輝きは格別です。

19日の未明から明け方に細い月と接近します。ぜひ早起きして眺めてみましょう。

火星

太陽に近いため見えません。次は9月上旬ごろから、明け方の東の低空に見えるようになります。

木星

「おとめ座」にあり、1等星スピカと並んでいます。夜7時半ごろに南西の低空に見え、夜9時ごろに沈みます。明るさは約マイナス1.8等級です。

空が暗くなるころにはかなり低くなってしまうので、そろそろ見納めです。天体望遠鏡でじっくり観察するというよりは、肉眼で夕空での輝きを眺めるのがよいでしょう。

25日の夕方から宵に月齢4の細い月と接近して見えます。西の空のかなり低いところで起こる接近なので、見晴らしの良いところで観察したり撮影したりしてみましょう。

土星

「へびつかい座」にあります。夜7時半ごろに真南の空に見え、未明の0時半ごろに沈みます。明るさは約0.1等級です。

引き続き観望の好機です。夜の早い時間帯に見やすい高さにあるので、ぜひ天体望遠鏡を向けて環を観察してみましょう。科学館や天文台では天体観察会が開催されているので、お近くの施設を探して出かけてみてください。

3日の夕方から4日の未明と、30日の夕方から深夜に、上弦過ぎの月と接近します。肉眼では環は見えませんが、月を目印にして「あれが土星だ」とはっきりわかる良い機会です。この夏は肉眼でも望遠鏡でも、土星をたくさん観察してみましょう。

今月の星さがし

8日未明に部分月食、12日から13日ごろを中心にペルセウス座流星群の流れ星、22日未明には日本からは見えないものの皆既日食、そして28日は伝統的七夕と、約1週間ごとに注目の天文現象や天文行事があります。平日の未明から明け方に起こるものもあるので、時間管理を含め事前の準備をしっかりしておきましょう。

8日の未明から明け方に部分月食

8月8日の未明から明け方にかけて部分月食が起こり、全国で見られます。日本から月食(欠けた様子がはっきりわかる本影食)が見られるのは2015年4月4日の皆既月食以来です。

東京から見た月食の様子。広い星図でも月は大きめに描いている。囲み内は拡大

満月が欠け始める(部分食の始まり)は2時23分ごろ、一番大きく欠ける(食の最大)は3時20分ごろ、月食が終わるのは4時18分ごろです。一番大きく欠けるときには、月の直径の約4分の1が暗くなります。

この欠ける割合や形、さらに月食の開始・最大・終了のタイミングは、全国どこで見ても同じ(月が昇っている地域なら世界中どこでも同じ)です。ただし、同じ時刻で比べると西の地域のほうが月が高く、空が暗い(夜明けが遅い)ので、タイミングが同じであっても西の地域のほうが見やすくなります。写真を撮る場合などは、南西から西南西方向の見晴らしの良さや前景となる建物などを事前に確認しておきましょう。

月食の観察に特別な道具は必要ありません。月の形が変わっていく様子は肉眼でもよくわかります。双眼鏡や天体望遠鏡があれば、微妙な色の違いなども楽しめるでしょう。

また、運が良ければ、次に紹介するペルセウス座流星群の流れ星も欠けた月と一緒に見えるかもしれません。月食は比較的よく見られるような印象があるかもしれませんが、天気などのことも考慮すると機会は意外と少ないものです。平日ということもありやや見づらいですが、前日に早寝するなど工夫して、ぜひ観察してみましょう。

12~13日ごろ、ペルセウス座流星群

毎年8月13日ごろに活動がピークとなる「ペルセウス座流星群」は、夏の定番の天文現象です。条件が良ければ1時間あたり数十個の流れ星を見ることができ、一年のうちでも指折りの「流れ星が見やすい時期」です。速く明るい流星が多いので見ごたえがあり、流れ星が飛んだあとに、ぼんやりとした煙のような「流星痕(りゅうせいこん)」が見えることもあります。

今年のピークは13日明け方4時ごろと予想されており、12日深夜から13日明け方にかけての夜に、流れ星の数が最も多くなると見込まれます(その前後数日間は、比較的多めです)。ちょうど「山の日」から週末にかけてのころなので、夜更かしをしやすいという方も多いでしょう。

8月13日3時ごろの東京の空。流れ星は、放射点の位置する北東の空だけではなく、放射点を中心とした空全体に飛ぶように見える

ただし、下弦前の月が夜空を照らしているため、月明かりの影響で暗い流れ星が見えなくなってしまい、実際に目にすることができる流れ星の数はかなり減ってしまいそうです。1時間あたり10~20個(前後数日は半分未満)といったところでしょう。

一つでも多くの流れ星を見るためには、なるべく見晴らしが良い場所で、月や街灯から離れた方向を眺めると良いでしょう。流れ星は「放射点」と呼ばれる天球上の一点を中心としてあちらこちらに飛ぶので、狭い範囲を集中して見るのではなく、なるべく広く空を見渡すことも大切です。見始めてすぐに流れるとは限らないので、安全やマナーに気をつけながら、できれば15分くらいは空を見上げてみてください。

月明かりのために条件が悪いとはいえ、普段より流れ星が多く飛ぶ夜であることは間違いありません。流れ星を見るうえで最大のポイントは、「空を見上げる」という、とても当たり前のことです。ほどほどに期待しながら、流れ星を待ってみましょう。

22日の未明にアメリカで皆既日食

日本時間で8月22日の未明ごろに、アメリカ合衆国を横断するエリアで皆既日食が起こります。

帯の範囲内で、太陽が月に完全に隠される皆既日食が起こり、その周囲の広い範囲で、太陽の一部だけが月に隠される部分日食が起こる。囲み内は皆既食のイメージ画像

日本では太陽が昇っていない時間帯なので、太陽の一部が欠ける部分日食さえ起こりません。そこで、アメリカからのインターネット中継で日食を楽しんでみましょう。

太陽が月に完全に隠される「皆既食」の状態になるのは、アメリカの西海岸で日本時間22日の未明2時15分ごろ、反対に東海岸では明け方3時45分ごろですので、皆既食の中継はこの1時間半の間のどこかで行われます。ウェブページなどに食のタイミングが紹介されているはずなので、時差(夏時間にも注意)を調べて日本時間の何時になるかを把握しておきましょう。各観測地ごとに最長でも3分弱ほどのわずかな時間ですので、お見逃しなく。

なお、太陽が欠け始める(部分食の始まり)は皆既食の約1時間半前、欠け終わる(部分食の終わり)は皆既食の約1時間半後なので、全経過を見届けるなら3時間ほどの長丁場になります。

28日は伝統的七夕

7月7日は七夕でしたが、例年この日にはまだ梅雨明けしていない地域が多く、晴れた夜空に織り姫星(「こと座」のベガ)と彦星(「わし座」のアルタイル)が見えないこともよくあります。

七夕は古くからの行事で、もともとは旧暦の7月7日に行われていました。この旧暦7月7日(※)は「伝統的七夕」と呼ばれています。伝統的七夕の日は毎年日付が変わり、今年の場合は8月28日です。

※旧暦は現在公的には使われていないため、伝統的七夕の日は「太陽太陰暦と同じような方法で求めた7月7日に近い日」として、太陽の位置や月の満ち欠けをもとにして決められます。

伝統的七夕の8月28日と新暦七夕の7月7日、旧暦の7月1日に当たる8月22日の、夜9時の空(場所は東京)。7月7日には地平線(図の円周)に近いベガとアルタイルが、8月28日には天頂(図の中心)付近まで高く昇ることがわかる。
また、8月22日(日食の日)は月明かりがないので、この前後の日は天の川が見やすい

8月末ともなれば梅雨もすっかり明けており、晴れた夜空に出会える確率が高くなります。7月7日の夜9時ごろには東の空に見えていたベガとアルタイルは、伝統的七夕の夜9時には頭の真上あたりまで高く上っています。また、旧暦では1日が新月なので、旧暦7日は必ずほぼ上弦の半月になります。南西の空に見えるこの半月が沈む深夜以降、空が暗いところではベガとアルタイルの間に天の川も見えるかもしれません。

伝統的七夕に合わせ、省エネや暗い夜空などについて考えるライトダウンキャンペーンも行われています。8月28日の「伝統的七夕」の夜は空を見上げて織り姫星と彦星を見つけ、星や宇宙に、そして地球にも、思いを馳せてみてください。

今月の星座

こぎつね座、や座

8月中旬の夜9時ごろ、南の空の高いところから頭の真上近くにかけて「夏の大三角」が見えています。その夏の大三角の中、アルタイル寄りに、「こぎつね座」「や座」があります。

「夏の大三角」と「こぎつね座」「や座」(星雲の画像クレジット:ESO)

どちらも小さい星座で、とくに「や座」は全天88星座のうち小さいほうから数えて3番目の星座です。また、3.5等級より暗い星しかないので、街明かりがあるような場所からではほとんど見ることができません。

このように目立たない星座たちですが、夏の大三角という目印があるおかげで位置の見当をつけるのは簡単です。このあたりには天の川が流れているので、双眼鏡で眺めればたくさんの星が見えるでしょう。「や座」は双眼鏡の視野内にちょうど収まり、バランスの良い形を確かめられます。「こぎつね座」のほうは、星の並びから狐を想像するのはやや難しいかもしれません。星座の形をたどるというよりは「闇にまぎれて獲物を狙う狐」をイメージして星を探してみてはいかがでしょうか。

コートハンガー星団

「こぎつね座」と「や座」との境界あたりには、双眼鏡や天体望遠鏡で観察すると面白い天体がいくつかあります。その一つが、ハンガーのような形に星が並んでいる「コートハンガー星団」です。アルタイルとベガの間、ややアルタイル寄りのところに双眼鏡を向けると見つけられます。「や座」と合わせて探してみてください。

あれい星雲

「あれい星雲」は、鉄亜鈴のように見えることからその名が付けられた天体です。蝶やリボンなど、いろいろなものを想像させる形ですね。メシエカタログという天体カタログの27番目に収録されていることからM27という番号でも呼ばれます。その正体は、星から放出されたガスや物質が紫外線に照らされて光って見えているものです。

星図中の画像は大型望遠鏡で撮影したものです。眼視ではここまで色や形がわかるほど見えるわけではありませんが、空の条件の良いところで天体望遠鏡を使って観察すると、白っぽく淡い広がりがわかります。天体写真撮影の対象としても大人気の天体なので、インターネットにも多数の画像が掲載されています。検索して美しい姿を楽しみましょう。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は8月中旬の深夜1時ごろの星空です。9月中旬の23時ごろ、10月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります/惑星は少し動きます)。

2017年8月中旬 深夜1時ごろの星空

「夏の大三角」が西の空へと移りました。今月ご紹介した「や座」は、図では左向きに見えますが、夏の大三角がある西を正面にして空を眺めると矢が上向きに見えます。空の高いところを目差して飛んでいくようですね。

矢が飛んでいく方向、頭の真上近くには、秋を代表する「秋の四辺形」が広がっています。また真南の空には「みなみのうお座」の1等星フォーマルハウトが光り、深夜の空は秋模様です。さらに東の空には、「おひつじ座」「おうし座」といった冬の星座も見え始めました。さらに時間が進めば明けの明星の金星も昇ってきます。

8日の月食、12~13日ごろのペルセウス座流星群、22日の日食中継と、今月は未明から明け方の天文現象が多くなっています。寝不足や夏バテに気をつけながら、星空を楽しみましょう。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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