Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

2017年7月の星空

広い範囲で梅雨のシーズン。さらに夜が短いこともあり、星空を見上げる機会になかなか恵まれないかもしれません。チャンスを逃さずに楽しみたいですね。
やや低いものの土星が見やすい時期です。天体望遠鏡で環を観察してみましょう。七夕の日には月と並ぶ様子が楽しめます。織り姫星・彦星だけでなく、こちらにも目を向けてみましょう。南西の空に明るく輝く木星も、まだまだ見ごろです。

星空写真

外房にて
一番明るく輝く「こと座」のベガと形の美しい「かんむり座」に挟まれて、勇者ヘルクレスがいる。「さそり座」も昇り始めている。久しぶりにヘルクレス座の球状星団M13が見たくなった。

2017年4月28日 21時47分
ニコン D750+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(16mm、ISO 3200、露出20秒、f/2.8)、レンズ用フィルター使用
撮影者:鈴木 祐二郎

7月の星空

南の空

南の空

2017年7月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(9日)、上弦(1日(右、木星のそば)/31日(中央右))の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2017年7月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(土) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
夕方~深夜、月と木星が接近
2日(日) 夕方~深夜、月とスピカが並ぶ
6日(木) このころ、未明~明け方に金星とプレアデス星団が並ぶ
7日(金) 七夕(「今月の星さがし」で解説)
未明~明け方、月と土星が並ぶ
夕方~翌8日未明、月と土星が接近(明け方とは並び方や間隔が変わります。「今月の星さがし」で解説)
9日(日) 満月。次の満月は8月8日(部分月食)です
12日(水) このころ、未明~明け方に金星とヒヤデス星団が接近(「今月の星さがし」で解説)
17日(月) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
20日(木) 未明~明け方、細い月とアルデバランが接近(日の出後にアルデバランが月に隠される)
21日(金) 未明~明け方、細い月と金星が並ぶ
23日(日) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
25日(火) 夕方、水星が細い月に隠される
28日(金) 夕方~宵、月と木星が並ぶ
29日(土) 夕方~宵、月と木星、スピカが並ぶ
30日(日) 水星が東方最大離角(夕方の西の低空に見えます)
31日(月) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)

7月の惑星

水星

夕方の西~西北西の低空に見えます。日没30分後(東京で夕方7時半ごろ)の高度は約8度前後(腕を伸ばして指4本分の幅)で、あまり太陽から離れない(つまり地平線の近くにしか見えない)水星としてはかなり好条件です。

とはいえ、やはり相当低いので、地平線近くまで見晴らしが良いところで探してみましょう。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめ、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

25日に月齢2の細い月に隠される水星食が起こります。夕方7時ごろに月の暗い縁(左上)に水星が隠され、7時50分ごろに明るい縁(右下)から出てきます(時刻は観察する場所により異なります)。双眼鏡を月に向け、そのすぐそばに水星が見えるかどうか確かめてみましょう。

金星

明け方の東の空に見えます。日の出1時間前(東京で朝3時30分ごろ)の高度は20度ほどとやや低いですが、マイナス4等級と明るく目立つので、建物などに隠されなければ見つけられるでしょう。「明けの明星」と呼ばれるにふさわしい輝きを実感してみてください。

金星は「おうし座」を動いており、上旬にはプレアデス星団と、中旬には1等星アルデバランやヒヤデス星団と並びます。双眼鏡で美しく見ることができるので、ぜひ早起きして眺めてみましょう。また、21日の未明から明け方に細い月と並ぶ光景も見ものです。

火星

太陽に近いため見えません。次は9月上旬ごろから、明け方の東の低空に見えるようになります。

木星

「おとめ座」にあり、1等星スピカとやや離れて並んでいます。夜8時ごろに南西の空に見え、深夜11時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.0等級です。

空が暗くなるころには少し低い位置になってしまいますが、まだ比較的見やすい時期です。肉眼や双眼鏡ではスピカとの色や明るさ比べを、天体望遠鏡では木星の周りにある4つのガリレオ衛星や木星表面の縞模様を観察してみましょう。科学館などで開催される天体観察会に参加するのもお勧めですが、開催時間内では空に明るさが残っている(衛星や縞模様が少し見えにくくなる)かもしれないのでご注意ください。

1日の夕方から深夜に上弦の半月と接近して見えます。また28日、29日の夕方から宵にも月と並びます。月も木星も明るく街中からもよく見えるので、晴れていたら気軽に空を見上げてみてください。

土星

「へびつかい座」と「いて座」の境界付近にあります。夜9時半ごろに真南の空に見え、未明の2時半ごろに沈みます。明るさは約0.0等級です。

先月から観望の好機が続いています。晴れた日にはぜひ天体望遠鏡で環を観察してみましょう。木星と同様、天体観察会に参加するのもお勧めです。太陽系の2大惑星を両方観察する、絶好のチャンスです。

7日の七夕の宵から8日の未明に明るい月と接近します(7日の未明から明け方にも月と並びます)。肉眼では環は見えませんが、月を目印にして「あれが土星だ」とはっきりわかる良い機会なので、ぜひ共演を眺めてみましょう。

今月の星さがし

7日は七夕。宵のころ東の空に昇ってくる織り姫星と彦星を見つけてみましょう。同じ日に南の空では月と土星が並んで見えます。土星の環を天体望遠鏡で観察しましょう。明け方の東の空で輝く金星は、おうし座のヒヤデス星団と並びます。

七夕

7月7日は七夕。秋のお月見とともに、古くから人々に親しまれている天文行事です。七夕伝説では一年に一度この日だけ、「織り姫星(織女星:しょくじょせい)」と「彦星(牽牛星:けんぎゅうせい)」が川を渡って会うことを許されていますが、伝説に登場する「織り姫星」は「こと座」のベガ、「彦星」は「わし座」のアルタイルという星です。

七夕のころ、ベガとアルタイルは夜9時ごろに東の空に昇っています。東の空には3つの明るい星が見えますが、このうち一番高いところにあって一番明るいのがベガ、ベガから右下に離れたところにあるのがアルタイルです。ベガの左下にあるもう一つの星は「はくちょう座」の1等星デネブで、この3つの星を結んでできる三角形を「夏の大三角」と呼びます。3つとも1等星なので、街中からでも見つけられるでしょう。

七夕の日の夜空。街中でも織り姫星ベガと彦星アルタイルは見つけられる

日付や時刻が変わると3つの星の高さや位置関係が違って見えることがあります。「3つのうち一番明るいのがベガ」「ベガから遠く2番目に明るいのがアルタイル、ベガに近く一番暗いのがデネブ」と覚えるとわかりやすいでしょう。

この夏の大三角を通り抜けるように天の川が流れています。七夕伝説では、織り姫星と彦星は川の反対岸にいることになっていますが、実際の空でもベガとアルタイルの間に天の川が流れているというわけです。条件の良い夜空であれば天の川も見えますが、今年の七夕は満月の2日前なので街明かりがないようなところでも天の川を見るのは難しそうです。

さて、多くの地域では7月7日は梅雨の真っ最中なので、当夜は晴れていないかもしれません。とはいえ、織り姫星と彦星は七夕以外の日にも見えます。晴れた夜には空を見上げて、2つの星や夏の大三角を探してみてください。なお、旧暦に基づいた「伝統的七夕」(日付は毎年変わり、2017年は8月28日)のころには梅雨が明けて晴れることが多いので、織り姫星と彦星がさらに見つけやすくなります。

7日夕方から8日未明、月と土星が接近

七夕の宵、織り姫星と彦星が見える東の空から南の空へと目を移すと、明るい月が目に入ります。さらにその右に、クリーム色をした明るい星も見つかるでしょう。ちょうど見ごろを迎えている土星です。七夕の主役は織り姫星・彦星のペアですが、今年はこちらのペアにも注目してみましょう。

7月7日 21時(場所は東京)の南の空の様子。囲み内はクローズアップ(直径7度、標準的な双眼鏡の視野)とその部分拡大。線は10度(腕を伸ばしてこぶし約1個分)間隔。広角図では月は大きく描いている

土星はこの夏、宵のころに南の空に見えるので観察しやすくなっています。土星の特徴である環は30倍ほどの天体望遠鏡でも見えるので、望遠鏡をお持ちの方は確認してみましょう。7日であれば月の隣の星に、その他の日であれば「宵のころに南の空に見える、赤いアンタレスとやや離れて並ぶ星」に望遠鏡を向けてみてください。なお、同じころに南西の空には木星も明るく見えていますので、こちらに望遠鏡を向けるのもお忘れなく。

さて、土星の環の見え方は年々変化しています。これは土星が傾いた状態で太陽の周りを公転しているため、地球(太陽)から見て土星のどの部分が正面に見えるかが変わるためです。今年は土星の北半球が夏至に当たる、つまり北極側が地球(太陽)のほうに最も大きく傾いている年なので、土星の赤道の面に沿ったところにある環も最も広く見えることになります。来年からは広がりが小さくなっていき、2025年には土星を真横から見るようになるため環の広がりがほぼ見えなくなります。それ以降は反対の面がよく見えるようになっていきます。

2017年から2026年までの、地球から見た土星の傾きの変化(毎年7月中旬ごろ)

環を見たいものの望遠鏡をお持ちでないという場合は、科学館やプラネタリウムなどで開催される天体観察会に参加するのがお勧めです。最近では商業施設や街角で観察会が行われていることもあるので、ショッピングや夜の散歩の際に土星を見せてもらえる機会もあるかもしれません。この先10年以上のうちで最も広く見える今年の環を、ぜひ自分の目で眺めてみてください。

また、これまで13年にわたり土星を周回探査し続けてきた探査機「カッシーニ」が、今秋の運用終了を前に最後のミッションを実施中です。曇りや雨で空に土星が見えない夜には、カッシーニが過去に撮影した膨大な数の画像で土星を楽しんでみてはいかがでしょうか。

明けの明星・金星とヒヤデス星団

明け方の東の空では、明けの明星の金星がキラキラ輝いています。その金星は今月は「おうし座」の中を動いています。「おうし座」が夜空で見やすい季節は冬ですが、本格的な夏が始まる前にもすでに明け方の空で見られることがわかります。

「おうし座」には「プレアデス星団(すばる)」「ヒヤデス星団」という2つの見やすい星団(星の集まり)があり、金星はその近くを通っていきます。明るい金星が星団の星々と並んで見える様子はとても美しい眺めです。

7月12日 朝3時30分(場所は東京)の東の空の様子。囲み内はクローズアップ(直径7度、標準的な双眼鏡の視野)。ヒヤデス星団は牛の顔の辺りに広がる星団で、中旬ごろに金星が接近する。プレアデス星団と金星が並ぶのは上旬ごろ

どちらの星団も比較的明るく見やすいのですが、さすがに夜明け空の中で肉眼で見るのはやや困難です。そこで、双眼鏡を使って観察するのがお勧めです。とくに中旬ごろには金星がヒヤデス星団のそばを通り過ぎていくので、双眼鏡の視野の中に明るい金星と星団の星々とを一緒に見ることができます。

金星の輝きや、刻一刻と変化する背景の空の色や明るさ、夜明けにつれて星団の星が少しずつ消えていく様子を、早起きして眺めて楽しんでみましょう。

今月の星座

ヘルクレス座

「ヘルクレス座」は7月中旬の夜9時ごろに、頭の真上に広がる星座です。全天88星座のうち5番目に広い星座ですが、3等級より暗い星ばかりなので、街中で見つけるのは少し難しいかもしれません。

「ヘルクレス座」。名前が書いてある星は、ラスアルハゲを除き2等級以上の明るい星の一部(カッコ付は他の星座の星)(星団の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

「ヘルクレス座」を見つける目印となるのは、「うしかい座」のアルクトゥールスと「こと座」のベガという2つの1等星です。この2つの間あたりに広がる、アルファベットのHの字のような星の並びを探してみてください。ページ上部「星空写真」では、画像中央から左上あたりに写っており、上の星図を90度左に回転させた向きに広がっていますが、わかるでしょうか。

ギリシャ神話では12の冒険を成し遂げた英雄ヘルクレス(ヘラクレス)とされており、彼がたたかった相手なども「しし座」「うみへび座」「かに座」「りゅう座」といった星座になっています。

英雄のわりには目立ちませんが、天頂から地上を見下ろす姿は堂々としています。ぜひ探してみてください。

ラスアルゲティ

ヘルクレスの頭の位置にある3等星ラスアルゲティ(「ひざまずく者」という意味の言葉に由来)は、「ヘルクレス座」でもっとも明るい星です。太陽の約800倍もの大きさを持つ巨大な星で、赤っぽい色をしています。隣に並んでいる2等星、「へびつかい座」のラスアルハゲとの色の対比がとても美しく眺めです。双眼鏡を使って観察すると色がわかりやすくなります。

また、ラスアルゲティを天体望遠鏡で観察すると二重星であることもわかります。

球状星団M13

「ヘルクレス座」の右腰あたりには有名な球状星団「M13」があります(Mはメシエカタログという天体カタログの頭文字です)。

球状星団とは、数万~数十万個の星々が球状に集まった天体です。M13はその中でも大きく明るいもので、空の条件が良いところでは肉眼でも存在がわかるほどです。頭の真上に昇ったころであれば、街中からでも双眼鏡でボンヤリとした小さな丸い姿が見つけられるでしょう。天体望遠鏡を使えば、さらに美しい見え方となります。星図を参考にして、ぜひ見つけ出してみてください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は7月中旬の深夜1時ごろの星空です。8月中旬の23時ごろ、9月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります/惑星は少し動きます)。

2017年7月中旬 深夜1時ごろの星空

織り姫星ベガと彦星アルタイルが、空の高いところに見えています。二人の間を通っている天の川に双眼鏡を向けると、たくさんの星々が見え、たいへん美しい光景が視野いっぱいに広がります。そこから西の地平線との間に、今月ご紹介した「ヘルクレス座」が横たわっています。南西の空の低いところには、土星もまだ沈まずに見えています。

東の空には、秋の星座が見え始めています。さらに、北東の空には冬に見やすい星座「ぎょしゃ座」の1等星カペラも昇ってきました。深夜になれば、ずいぶん季節を先取りした星々が見られることになります。

まだ梅雨が明けていない地方もありそうですが、雨上がりの空は塵が少なく、空気が澄んでいるかもしれません。晴れた夜には5分でも10分でも、星空を眺めてみてください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

星空観察のワンポイントアドバイス