Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

2017年4月の星空

春を迎え、星空の世界にも動物たちが躍動するようになります。南の空の高いところには「しし座」が、反対の北の空の高いところには「おおぐま座」が昇り、よく目立ちます。
また、南東の空には「春の大三角」が大きく広がります。その一角で青白く輝く「おとめ座」のスピカと、穏やかな色で輝く木星のペアが見ものです。

星空写真

草津白根山にて
志賀草津道路の展望所から草津白根山系の残雪と北斗七星をとらえました。薄明時のレイリー散乱で、バックグラウンドが春らしいパステル調のブルーに仕上がりました。

2012年4月28日 03時44分
ニコン D4+AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED(ISO 3200、露出15秒、f/2.2)、レンズ用フィルター使用
撮影者:高岡 誠一

4月の星空

南の空

南の空

2017年4月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(11日)、上弦(4日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2017年4月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(土) 夕方~宵、アルデバランが月に隠される(「今月の星さがし」で解説)
4日(火) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
7日(金) 夕方~翌8日未明、月とレグルスが接近
8日(土) 木星が衝(一晩中見えるので観察の好機です)
10日(月) 夕方~翌11日明け方、月と木星が接近、スピカが並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
11日(火) 満月。次の満月は5月11日です
17日(月) 未明~明け方、月と土星が接近
19日(水) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
24日(月) 未明~明け方、細い月と金星が並ぶ
26日(水) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
28日(金) 夕方、細い月と火星、アルデバランが並ぶ
30日(日) 金星が最大光度(明け方の東の空で眩しく輝いています)

4月の惑星

水星

5日ごろまで、夕方の西の低空に見えます。日没30分後(東京で夕方6時30分ごろ)の高度は約10度で、水星としては好条件です。とはいえ、建物に隠されたり夕空の明るさの影響を受けたりして見つけにくいので、見晴らしが良いところで探してみましょう。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめ、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

10日ごろから、明け方の東の低空に見えます。高度は低いもののマイナス4.5等級ととても明るいので、建物などに隠されなければ低くてもよく目立ちます。

24日の未明から明け方に細い月と並びます。朝4時30分ごろととても早い時間ですが、早起きする価値のある美しい共演です。ぜひ眺めてみてください。

火星

「おひつじ座」から「おうし座」を動いています。夕方の西の低空に見え、夜8時30分ごろ沈みます。明るさは約1.5等級です。

かなり暗くなってしまい、赤い色もあまり目立ちませんが、夕方の散歩のときなどに少し気にかけて探してみましょう。中旬から下旬には「おうし座」のプレアデス星団と並び、双眼鏡を使えば見えるかもしれません。

また、下旬から来月上旬には「おうし座」の1等星アルデバランと並びます。2つの赤い星が並ぶ様子を眺めてみてください。28日の夕方には細い月も加わった3天体の集合が見られます。

木星

「おとめ座」にあり、1等星スピカと並んでいます。夜9時ごろに南東の空、深夜11時ごろに真南の空に見えます。明るさは約マイナス2.5等級です。

ほぼ一晩中見えるので観察の絶好機です。双眼鏡を使うと木星の周りにあるガリレオ衛星が見え、天体望遠鏡では衛星だけでなく本体の縞模様もわかります。高く昇って見やすいのは深夜になってからですが、意欲のある方はぜひ双眼鏡や望遠鏡での観察もしてみましょう。

肉眼では、10日夕方から11日の明け方に満月と接近する光景が見ものです。スピカを含めた3天体の集合を眺めてみましょう。

土星

「いて座」にあります。深夜2時ごろに南東の空やや低いところ、明け方4時ごろに南の空に見えます。明るさは約0.1等級です。

17日の未明から明け方に下弦前の月と並んで見えます。肉眼でも楽しめるので、早起きしたら南の空を見てみましょう。

天体望遠鏡を使うと太い(幅の広い)環が見えます。土星を見やすい時間帯は深夜から明け方のため、本格的な観察は難しそうですが、チャンスがあれば環のある美しい姿を眺めてみてください。

今月の星さがし

1日の夕方から宵に、「おうし座」の1等星アルデバランが細い月に隠される現象が起こります。土曜日の見やすい時間帯なので楽しみです。また、宵の空では木星が見やすくなっています。10日から11日には丸い月と接近する様子が見られます。

1日の夕方から宵、アルデバランが月に隠される

日没のころ、西の空にはまだ冬の星座たちが見えています。そのなかの一つ、「おうし座」の顔の位置に輝く赤っぽい1等星アルデバランが、1日の夕方から宵のころに月齢4の細い月に隠されます。このような現象のことを「星食、恒星食」と呼びます。

4月1日の夕方から宵のころ、月がアルデバランの近くを動いて隠していく様子(場所は東京)。大きい円の直径は10度(標準的な双眼鏡よりやや広めの視野)、小さい円の直径は0.5度(100倍程度の天体望遠鏡の視野)

アルデバランが月に隠される時刻や月から現れる時刻、月のどの位置に入っていき出てくるかは、観察する場所によって異なります。観察にチャレンジする方は、時刻や見え方を事前に確かめておきましょう。東京の場合、アルデバランが隠されるのは夕方6時45分ごろ、月から出てくるのは夜7時53分ごろです。土曜日の宵のころなので見やすいでしょう。

とくに面白いのは、アルデバランが隠されるときです。月の暗く欠けたところに隠されるので、アルデバランが突然なくなったように見えます。ただし、空がまだ暗くなりきっていない時間帯の現象なので、アルデバランが見えにくいかもしれません。双眼鏡や天体望遠鏡で観察すると良いでしょう。

アルデバランが月から出てきた後は、2天体の間隔が少しずつ大きくなっていき、1時間後には月1個分ほどまで広がります。この変化は肉眼でもよくわかるので、出現後の様子も眺めてみてはいかがでしょうか。

10日夕方から11日明け方、月と木星、スピカが接近

宵のころ、南東の空に木星が目立って見えています。これから7月ごろまで、木星が観察しやすいシーズンです。今月8日には木星が地球を挟んで太陽と正反対の位置に来る「衝(しょう)」という状態を迎えます。太陽の正反対ということは一晩中見えるので、それだけ観察時間が長くとれることになります。

今年の木星は「おとめ座」の1等星スピカと並んでおり、色や明るさの対比がとても美しく感じられます。2つの星の間隔は6月上旬ごろまでかけて少しずつ大きくなっていくので、ときどき意識して眺めてみてください。

4月10日 22時(場所は東京)の南東の空の様子。囲み内はクローズアップ(直径7度、標準的な双眼鏡の視野)とその部分拡大。線は10度(腕を伸ばしてこぶし約1個分)間隔。広角図では月は大きく描いている

その2つの星に、10日の夕方から11日の明け方にかけて月が接近します。11日が満月なので、ほぼ真ん丸の明るい月です。肉眼では3つの天体だけでなく広めに空を見渡し、町の風景や周りの雲などと共に眺めてみましょう。

双眼鏡を使うと月と木星だけの世界を観察することになり、宇宙をのぞき見る感覚を楽しめます。月の模様もよく見えるほか、木星の周囲にある衛星(イオ・エウロパ・ガニメデ・カリスト)もいくつか見えるかもしれません。月明かりの影響で衛星が見えにくい場合は、月を双眼鏡の視野から外すと少し見やすくなります。

天体望遠鏡では見える範囲が狭いため、月と木星の両方を一度に見ることはできませんが、月の模様や木星の衛星がさらに見やすくなります。木星の表面の縞模様もわかるでしょう。

肉眼、双眼鏡、天体望遠鏡、それぞれの見え方を楽しんでみてください。木星については、2017年5月の星空の回でより詳しくご紹介する予定です。

今月の星座

おおぐま座、こぐま座

4月中旬の夜9時ごろ、北の空の高いところに、北極星を見つける目印として有名な「北斗七星」が昇っています。この北斗七星を含むのが「おおぐま座」です(つまり北斗七星そのものは、星座ではありません)。星図を見ると、北斗七星の水を汲む部分が熊の腰にあたり、柄の部分が尻尾にあたるのがわかります。

一方、北極星は「こぐま座」に含まれる星で、熊の尻尾の先で光っています。「こぐま座」の星々もひしゃくのような形に並んでいて、「小柄杓(こびしゃく)」と呼ばれることもあります。

「おおぐま座」「こぐま座」。名前が書いてある星は2等級以上(メグレズだけ3等級)の明るい星(銀河の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

「おおぐま座」が宵のころに高く昇るのは春ですが、日本からはほぼ一年中いつでも、北の空のどこかに見ることができます。一番高く昇るころには北斗七星が伏せた角度になっているので、大熊は仰向けになり、走り高跳びの背面跳びのような格好をしています。このころ、小熊のほうは地面に足をついているような角度で見えています。季節や時間によって角度が異なって見えますので、その時々の熊の姿を思い描いてみましょう。神話ではこの熊は親子とされています。

北斗七星の星々は2等級(真ん中のメグレズだけ3等級)、小柄杓のほうも北極星(ポラリス)とコカブは2等級です。北の方角さえわかっていれば町中からでもじゅうぶん見つけられますので、ぜひ探してみてください。また、これら明るめの星々を手掛かりにして、熊の顔や足の部分も見つけてみましょう。

ミザール&アルコル

北斗七星の柄の端から2番目の星、ミザールのすぐそばには、よく見ると別の暗い星があります。4等級のアルコルです。

古くから知られている二重星で、兵士の視力検査に使われたとも言われています。視力が良い人なら肉眼でも2つの星が見えますが、アルコルは暗いので空の条件が良いことも大切です。双眼鏡を使えば、少し視力が悪かったり町明かりの影響があったりしても分離して見えるでしょう。

天体望遠鏡を使うと、さらにもう1つアルコルとは別の星があることもわかります。お持ちの方は観察してみてください。

様々な銀河

M81とM82(Mはカタログの符号)は、北斗七星の水を汲む部分の星、フェクダとドゥベを結んだ線を同じ長さほど延ばしたあたりに並んでいる銀河です。眼視ではボンヤリとした光のかたまりにしか見えませんが、天体写真ではM81の美しい渦巻きとM82の葉巻のような不規則な形が好対照です。

この2つの銀河は見かけ上たまたま並んでいるのではなく、実際に同じくらいの距離(約1200万光年)のところにあります。お互いに重力的な影響を及ぼしあっており、とくにM82で起こっている爆発的な星形成はM81の影響だと考えられています。

一方、北斗七星の柄の先あたりにはM101という銀河があります。M81と同様に美しい渦巻きが特徴で、「回転花火銀河」という愛称が付けられています。距離はおよそ1900万光年です。やはり眼視では渦巻の細かい様子までは見えませんが天体写真ではよく写り、人気の撮影ターゲットになっています。

どれも、銀河としてはかなり明るく見やすい天体です。明るいとはいっても、空の条件の良いところで双眼鏡や天体望遠鏡を使わなければ見えませんが、光の速さで1000万年以上もかかるところにある天体の光を目にできるチャンスですので、機会があればぜひ探して観察してみましょう。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は4月中旬の深夜1時ごろの星空です。5月中旬の23時ごろ、6月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります/惑星は少し動きます)。

2017年4月中旬 深夜1時ごろの星空

北斗七星がやや北西に傾いています。北を正面にして空を見上げる(図を180度回転させて見ることになります)と、北斗七星の傾きはちょうど水に柄杓を差し入れるときのように見えるでしょう。その柄のカーブを南へと延ばしていくと、頭の真上を通って「うしかい座」のアルクトゥールス、そしてスピカへと連なる「春の大曲線」が描けます。スピカと並ぶ木星の輝きは、この春一番の見ものですね。

南東から東の空には夏の明るい星々も見え始めています。南東には「さそり座」のアンタレスと土星が少し離れて並び、東には「夏の大三角」が広がっています。アンタレスは赤、土星は薄い黄、夏の大三角の3つの星は白と、色とりどりです。春の星々も含め、色の違いを確かめてみてください。

だいぶ暖かくなり、深夜の星空観察もしやすくなってきました。安全と健康にお気をつけて、春から夏へと移り変わる星空めぐりをお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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