Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

2017年3月の星空

冬の間「宵の明星」として輝いていた金星が低くなり、入れ替わるように宵の東の空に木星が見え始めます。また、西に傾く冬の星々を追うように、「しし座」など春の星座が東の空に昇ってきます。
年度末の今月は、星空の移り変わりを感じながら夜空を見上げてみましょう。

星空写真

南房総にて
アルゴ座の前半分が水平線の上に出て、雲をかき分けて進んでいる。とも座、らしんばん座、ほ座の半分、りゅうこつ座のカノープスと、関東あたりから見えるアルゴ座のほぼ全景が見えている。

2017年1月2日 00時41分
ニコン D800E+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(20mm、ISO 6400、露出30秒、f/2.8)
撮影者:鈴木 祐二郎

3月の星空

南の空

南の空

2017年3月1日ごろの22時、15日ごろの21時、28日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(12日)、上弦(5日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2017年3月1日ごろの22時、15日ごろの21時、28日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(水) 夕方~宵、細い月と金星、火星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
5日(日) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
夕方~深夜、月とアルデバランが接近
10日(金) 宵~翌11日未明、月とレグルスが接近
12日(日) 満月。次の満月は4月11日です
14日(火) 宵~翌15日明け方、月と木星が接近、スピカが並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
20日(月) 春分
21日(火) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
未明~明け方、月と土星が接近
28日(火) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
30日(木) 夕方~宵、細い月と火星が並ぶ

3月の惑星

水星

20日ごろから夕方の西の低空に見えます。日没30分後(東京で夕方6時30分ごろ)の高度は約10度で、水星としては好条件です。とはいえ、やはり10度というのは低く見つけにくいので、スマートフォンのアプリなどで位置を確かめて見晴らしが良いところで探してみましょう。双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

20日ごろまで、夕方の西の空に見えます。およそマイナス4等級ととても明るく、低くなってもよく目立ちます。

1日に、細い月と火星とで、比較的形が整った三角形に並びます。肉眼でも美しい光景を楽しめるので、夕景と一緒に眺めてみてください。

また、天体望遠鏡で金星を観察すると、細い月のような形に欠けて見えることもわかります。天体観察会などに参加して確かめてみましょう。

火星

「うお座」から「おひつじ座」を動いています。宵のころ西の空に見え、夜9時ごろ沈みます。明るさは約1.4等級です。

南西の空にはアルデバランやベテルギウスなど明るめの赤い星がいくつか見えているので、火星と一緒に探してみましょう。

1日に、細い月と金星とで、比較的形が整った三角形に並びます。また、30日にも細い月と並びます。月と惑星の接近は肉眼や双眼鏡向きの天文現象ですので、気軽に眺めてみてください。

木星

「おとめ座」にあり、1等星スピカと並んでいます。夜10時ごろに南東やや低めの空、未明の1時30分ごろに真南の空に見えます。明るさは約マイナス2.4等級です。

14日宵から15日の明け方に月と接近して見えます。スピカを含めた3天体の集合を眺めてみましょう。

双眼鏡を使うと木星の周りにあるガリレオ衛星が見え、天体望遠鏡では衛星だけでなく本体の縞模様もわかります。高く上って見えるのは深夜になってからですが、意欲のある方はぜひ双眼鏡や望遠鏡での観察もしてみましょう。

土星

「いて座」にあります。明け方3時30分ごろに南東の空やや低いところに見えます。明るさは約0.2等級です。

やや離れていますが、土星の右のほうに赤いアンタレスが並んでいます。色や明るさを見比べてみましょう。

21日の未明から明け方に下弦の月と並んで見えます。肉眼でも楽しめるので、早起きしたら南東の空を眺めてみてください。

今月の星さがし

金星の輝きは今月中旬でいったん見納め。1日にはその金星と細い月、火星とが三角形に並びます。また深夜から明け方に並んで見える木星とスピカには、14~15日に月が接近します。

1日の夕方~宵、細い月と金星、火星が三角形に並ぶ/14日宵から15日明け方には月と木星、スピカが接近

ここ半年ほどの間、宵空で目立っていた宵の明星・金星は、今月下旬に太陽と同じ方向になり見えなくなります。観察できるのは今月中旬ごろまででしょう。

その金星と細い月との共演が、1日に見られます。金星の左上のほうには火星も見えていて、3つの天体が、比較的形の整った三角形に並びます。こうした天体の接近は、肉眼や双眼鏡で眺めるのが一番楽しめます。天体望遠鏡では見える範囲が狭いので、「並んでいる」ことを実感できないからです。今回の接近の場合は間隔が広く、双眼鏡でも1つずつの天体しか見えない(2つや3つを同一視野で見ることはできない)ので、肉眼で眺めるのが良いでしょう。

もちろん、双眼鏡や天体望遠鏡での観察にも楽しめるポイントがあります。双眼鏡では、周囲の暗い星や地球照(地球で反射した太陽の光が月を照らし、月の暗い部分がうっすら光って見える現象)が見やすくなります。天体望遠鏡では月の模様がよく見えるほか、金星が大きく欠けた形に見えることもわかります。肉眼を含め、いろいろな見方・見え方を楽しんでみましょう。

3月1日 日没1時間後(東京で18時40分ごろ)の西の空の様子。線は10度(腕を伸ばしてこぶし約1個分)間隔。月は大きく描いている

3月14日 22時(場所は東京)の南東の空の様子。囲み内はクローズアップ(直径7度、標準的な双眼鏡の視野)。線は10度(腕を伸ばしてこぶし約1個分)間隔。広角図では月は大きく描いている

さて、金星がだんだん見えなくなっていくのと入れ替わるように、木星の観察シーズンが始まろうとしています。夜10時ごろには南東の空に昇っており、「おとめ座」の青白い1等星スピカと並んで見えます。2星の共演が深夜の空で目を引くことでしょう。

その2つの星に、14日の宵から15日の明け方にかけて満月過ぎの明るい月が接近します。こちらもやはり、肉眼・双眼鏡・天体望遠鏡それぞれに楽しむことができます。望遠鏡では木星の縞模様やガリレオ衛星も観察してみてください。

また、先月と同様、同じ方向に見えている3天体までの距離が異なること、つまり宇宙に奥行きがあることも想像してみましょう。ちなみに地球から月・スピカそれぞれまでの距離は先月とほぼ同じですが、木星までの距離は約4000万kmも近づいています。地球と木星が一番近づくのは来月上旬で、さらに1500万kmほど近くなります。

今月の星座

アルゴ座

3月中旬の夜9時ごろ、南西の空に輝くシリウスの左、真南の空の低いあたりには明るい星が少なく、目立った星の並びもありませんが、ここには大きな船の星座「アルゴ座」が広がっています。神話では勇者ヘルクレスや双子のカストルとポルックスを乗せて冒険を繰り広げた船とされています。

実は、「アルゴ座」は現存しない星座です。もともとは2世紀ごろに定められた歴史の長い星座でしたが、「あまりにも大きすぎる」という理由で18世紀に分割されてしまいました。船尾を表す「とも(艫)座」、船の骨組みの「りゅうこつ(竜骨)座」、風を受ける「ほ(帆)座」、そして帆を支える「ほばしら(帆柱)座」です。その後「ほばしら座」は方角を示す「らしんばん(羅針盤)座」に変わり、「アルゴ座」は現在使われている「とも」「りゅうこつ」「ほ」「らしんばん」の4星座になりました。

「とも座」「りゅうこつ座」「ほ座」「らしんばん座」。名前が書いてある星は2等級以上の明るい星の一部(カッコ付は他の星座の星)

日本(本州あたり)から見ると南の水平線(地平線)近くを左から右へと進んでいくように見え、いかにも船らしい姿に感じられます(今月の「星空写真」は、まさにそういうイメージです)。しかし、低いため注目されにくい星座でもあります。

一方、オーストラリアなどでは頭の真上近くに見え、大きな船が天を悠々と渡っていくように見えます。明るい星が多いだけでなく天の川も流れているので、肉眼や双眼鏡で美しい眺めを楽しめます。南半球で星空を眺める機会があれば、ぜひご堪能ください。

M46、M47

「とも座」にある2つ並んだ天体M46とM47(Mはカタログの符号)は、双眼鏡で見ることができる散開星団です。散開星団とは、数十~数百個の若い(誕生して数千万年から数億年の)星々が集まってできている天体です。

M46とM47は「おおいぬ座」の1等星シリウスと「うみへび座」の2等星アルファルドの間あたりに位置しています。星図にあるように、東(左)のM46のほうが微光星の集まりで暗めに見え、西のM47は明るくややまばらに見えます。町中ではかすかにしか見えませんが、2つの印象の違いはわかるでしょう。天体望遠鏡で見比べてみると、それぞれの個性がよりハッキリとわかっていっそう面白く感じられます。

にせ十字、ダイヤモンド十字、エータカリーナ星雲

日本からは見えにくい(あるいはまったく見えない)南のほうの見どころもご紹介しましょう。

緑の線:各星座の領域(境界線)/オレンジの線:この線より上(北)の星が、札幌・東京・那覇のそれぞれで見られる。札幌では「りゅうこつ座」はまったく見えず、東京ではカノープスがかろうじて見え、那覇では「にせ十字」まで見えるが「ダイヤモンド十字」は見えない(NGC 3372の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は3月中旬の深夜1時ごろの星空です。4月中旬の23時ごろ、5月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります/惑星は少し動きます)。

2017年3月中旬 深夜1時ごろの星空

南の空に「春の大三角」が大きく広がっています。「おとめ座」の1等星スピカの近くには「今月の星さがし」でご紹介したように木星が明るく輝いていて、うっかりするとこちらで三角形を作ってしまいそうになります。スピカと木星の、色や明るさの対比も楽しみましょう。

北の空では「北斗七星」が高いところに上りました。ひしゃくの柄のカーブを南へと延ばしていくと、「うしかい座」のアルクトゥールス、そしてスピカへと連なる「春の大曲線」が描けますが、やはり最後は木星と結んでしまいそうになりますね。ぐるりと体を動かして曲線をたどるのは、空を大きく見渡す感じがして楽しいものです。

北東の空には「はくちょう座」のデネブや「こと座」のベガ、南東の空には「さそり座」のアンタレスと、夏の1等星も見え始めました。もう少し夜更かしを続けると「わし座」の1等星アルタイルや土星も昇ってきます。季節の先取りは楽しいものですが、寝不足にならないようにお気をつけください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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