Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

vol.22 Dave Black デイブ・ブラック

「生粋のフォトグラファー」

Dave Black(デイブ・ブラック)
スポーツ / ファインアート・フォトグラファー(アメリカ)

デイブ・ブラックは、『スポーツ・イラストレイテッド』『タイム』『ニューズウィーク』などの出版物や米スポーツ専門チャンネル『ESPN』などにおいて、34年間、スポーツ競技の真髄を写真に収め続けてきた、ベテランのスポーツ・フォトグラファー。ケンタッキー・ダービー、マスターズ(ゴルフ)、NASCAR(モータースポーツ)、12回のオリンピック、そして数多くのNFL(アメリカンフットボール)の名勝負を撮影してきた。ニコンアンバサダーの一人として、またファインアート・フォトグラファーとして、毎年、数千人の学生に写真撮影の基礎についての指導をしている。彼のウェブサイト「Workshop at the Ranch」のチュートリアルは、毎月約8万5000アクセスに達する人気を博している。

進むべき道の発見

大学でデッサンとグラフィックデザインを学び始めた頃は、将来は書籍や雑誌のイラストレーターになりたいと考えていました。専攻分野の履修科目にモノクロ写真の授業があり、その講師を務めていた写真学科長が私の撮った写真を気に入り、学科長のはからいで私は小さな撮影を任され、暗室作業に親しむようになりました。当時体操選手だった私は、コーチを務めるかたわら、選手達の写真を撮り始めました。撮影技術の習得に努めるうち、1980年のある日、米国代表体操競技チームから公式フォトグラファーにならないかという申し出がありました。子供の頃から体操を続けていたこともあり、私は迷うことなく申し出を受けました。

人生には、自分が何をするために生まれてきたのかが、突然はっきりとする瞬間があります。この申し出が、私にとってその瞬間でした。私はコーチを辞め、プロのフォトグラファーへの一歩を踏み出しました。心の奥底で、これが自分の進むべき道だという確信があり、他の一切に区切りを付けるのも自然の流れだと感じたのです。

被写体を事前に知る

駆け出しの頃、写真についてはそれほど詳しくありませんでしたが、自分の撮影テーマである体操についてはあらゆることを知っていました。フォトグラファーにとって、被写体についてできるだけ知っておくことはとても大切です。風景を撮るなら、風景について学ぶ。静物を撮るなら、静物写真やそのジャンルで今までどんな人が撮っていたかを学ぶ。スポーツ選手を撮るなら、そのチームや彼らのパフォーマンスを観察する。どんな大会を撮影するときも、私は事前に十分な時間をかけて選手について調べ、被写体の研究をします。アメフトの撮影ならアメフトの、モトクロスならモトクロスの研究に没頭します。これが撮影時の武器になります。なぜなら、事前に得た知識を基に選手と会話することで、選手たちとの関係を築くことができるからです。私は、単なるフォトグラファーではなく、彼らの世界を理解するフォトグラファーとして仕事をすることができます。この関係が生まれると、選手達は私が撮影することをとても喜んでくれます。良い仕事だなと思える瞬間です。

今では、私にとっての「スポーツ」は「写真」になりましたが、今でもスポーツ選手のように考えたり、トレーニングをしたりします。そうして、常に完璧な一枚の写真を目指しているのです。完璧な写真を撮ることは永遠にできないかもしれませんが、常に努力しています。私の仕事はこれまでに撮られたことのないような写真を撮ることです。同じ被写体、同じ競技、同じスポーツ選手を撮影したことがあるとしても、昨日までとは違った方法で撮影するのが仕事なのです。今日はまだここにない写真を、明日に向けて生み出す。そのようなことができる仕事が、世の中にどれだけあるでしょうか。

一枚の素晴らしい写真を撮ることができたときの気持ちは、言葉では表現しがたいものです。心の奥底でそれを感じ、達成感からこの上ない喜びが得られます。それは、観衆、選手、メディア、会場の熱狂など、私の集中力を妨げる大きな渦に対する勝利だと言ってもよいでしょう。一枚の決定的写真を撮るには、すべての雑念から離れ、ある一瞬、そして大抵は一人の被写体に対して、集中力を高めなければなりません。その時、私の頭の中は静寂そのものになり、撮った瞬間、特別な感情が押し寄せます。アドレナリンが溢れ、身体中に衝撃が走ります。

若いフォトグラファーへのメッセージ

もし、あなたがフォトグラファーとしての道を歩み始めたばかりなら、スポーツ、ファッション、ファインアートやワイルドライフなど、撮影ジャンルが何であれ、他人の「君には無理だ」などという言葉に耳を貸してはいけません。あまりに単純な、また、ありきたりな言葉に聞こえてしまうかもしれませんが、「君なら出来る」という言葉にこそ耳を傾けるべきなのです。目標に向かって進み続けることが何より大切です。スポーツ・フォトグラファーになるために生まれ持った才能は必要か?そもそもフォトグラファーになるために才能は必要か?フォトグラファーになれるかどうかは、決して才能の問題ではないと思います。一方、決意と意欲は絶対に必要です。この職業は楽な道ではありません。たゆまぬ努力とスタミナが必要です。実際、この仕事に対しては、スポーツ選手と同じように取り組まなければなりません。厳しいトレーニングを自分に課し、「君には無理だ」という声を跳ね返すのです。前に進み続ければ、勝利をつかめます。

同時に、犠牲を払う覚悟も必要です。本物の情熱と成功への意志を持つ人は、道を進むうちに何かしら犠牲が伴うという考えを、受け入れなければなりません。旅に出ることも多く、大切な出来事を逸してしまったり、生きていく上でかけがえのない人と、大切な時に会えなかったりすることがあるかもしれません。そのようなこともこの職業にはつきものです。それでも、写真に対して情熱を持っているなら、続ける価値がこの仕事にはあります。

決定的瞬間を見いだす

試合前はずっとぶらぶらしていて、試合が始まるころにようやくカメラを取り出すようなスポーツ・フォトグラファーをたくさん見てきました。私のアプローチは違います。会場に到着すると、選手のウォームアップ中に早速撮影を始めます。たとえば野球の撮影なら、球場に早めに行き、練習を見ます。常にカメラを通して見るわけではなく、選手の動きや選手同士のやり取りを観察します。彼らの行動を見ながら、選手が顔を少し歪めるとか、ある特徴的な動きをするときにバットを振るとホームランが生まれるといった癖を探すのです。

選手をいつもファインダー越しに観察していると、何を注視すべきかが分かるようになってきます。選手の身体全体ではなく、肩の動かし方や、ある瞬間に選手がどのように顎を上げるかなど、特定の箇所や特徴に着目します。それは、何か大きなことが起ころうとしていることを私に教えてくれる瞬間なのです。

ニコンについて

私は撮影を始めた当初からニコンを使ってきました。長い年月の間に、ニコンの革新的技術をいち早く経験する機会が幾度かあり、その技術を活かして、私は現在の私の写真を作り上げてきました。私はニコンの機材を全面的に信頼しています。撮影機材を信頼できるかどうかはとても大切なことです。なぜならフォトグラファーは、「すみませんが、もう一度ホームランを打ってもらえませんか?」と選手に頼むわけにはいかないからです。決定的な一枚を撮るチャンスは一度きりなので、カメラは常に準備万端な状態で、その一枚を確実に撮ることができる、という確信が必要なのです。ニコンは、その確信を与えてくれます。私にとって、D4Sは写真を大きく飛躍させてくれるカメラです。オートフォーカスの速度、追従性能、暗い場所での撮影能力はまさに撮影の概念を一新させるものです。ニコンが次に何をしてくれるのか、私は楽しみで仕方がありません。

カメラバッグの中身

● Nikon D4S
● Nikon D810
● Nikon D750
● AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
● AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
● AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR
● AF-S NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6G ED VR
● AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR
● AF-S NIKKOR 200-400mm f/4G ED VR II
● AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
● AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VR
● AF-S TELECONVERTER TC-14E III
● スピードライトSB-900 8台
● ワイヤレススピードライトコマンダーSU-800 2台